第百九十一段:首都直下地震③

 首都直下地震に話題を戻します。
 第百八十八段では最近関東地方でマグニチュード(以下M)5、M6クラスの地震が頻発していることを書きました。
 そして私は東京へはサッと行ってサッと帰るということも。

 

 よく関東の人は地震に慣れている、ということを聞きます。
 私たちが驚くような地震でも、平気な顔をしている、とも。
 確かにこれだけ地震が起こっていると、いちいち驚いてはられないのかもしれません。
 しかしそこに大きな落とし穴があるのです。

 

 頻発している地震のMは大きくて6クラス。
 これから何度も起こるであろう、いわゆる“首都直下地震”はM7クラスの地震なのです。

 

 最近では1995年の阪神・淡路大震災(M7.3)、2016年熊本地震(M7.3)、2024年能登半島地震(M7.6)といった大きな被害をもたらした地震が相当します。
 エネルギー的にはM6とM7では約30倍、M5とM7では約1000倍もエネルギーが違います。
 段違いのエネルギーの地震が迫っているのです。

 

 このような地震が首都圏を襲ったらどうなるか、国は可能性のあるM7クラスの震源を調査し、それら19の震源に対して被害想定を行っています。
 その中で最も被害が大きくなるのが図に示す『都心南部直下地震』です。

 

第百九十一段:首都直下地震③

 

 もしこの地震が起こると、神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県の非常に広い範囲で震度6弱以上、東京都は広い範囲にわたって震度6強以上の揺れ、一部震度7の所もあります。
 このように都心を中心に非常に広い範囲が強い揺れに襲われたときの被害想定結果が表です。
 ここでは人的被害に絞って示しています。

 

第百九十一段:首都直下地震③

 

 地震が冬の深夜、夏の昼、冬の夕方に起こったとし、それぞれ風速が3m毎秒、8m毎秒の6ケースについて想定されています。
 その中で最も死者が多いのが、冬の夕方8m毎秒の風の時の約23,000人。
 この数字がマスコミなどに「死者約23,000人」と良く取り上げられますが、事はそれだけではすみません。

 

 自力脱出困難者の存在です。
 この人たちはすぐに救出しないと命を失います。

 

 道路が使えず、消火用の水は出ない、火災は延焼する、どこにだれがいるか電話も使えない、そのような状況が起こるのです。
 残念ながら多くの人が救出されないでしょう。

 

 また10万人前後の負傷者、医療機関が十分に機能しないと負傷者の人たちも命を落としていくでしょう。
 こんなところに私はおりたくありません。
 だからできるだけ行かないようにして、行かなければならないときにはサッと行って、サッと帰るのです。

 

 


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