第一段:南海トラフ巨大地震、首都直下地震が近い ~東日本大震災と貞観地震~

 “つれづれなるまゝに、夜な夜なパソコンに向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、災いのことなどあやしうこそ物狂ほしけれ”

 

 「ハザードマップを読む」を書きながら、いろいろと防災について考えるにつけて、様々なことが頭をよぎって、社長の脇さんと相談した結果、このようなタイトルで、思いつくままに防災に関して書かせて頂くことになりました。

 

 来年3月11日で東日本大震災から10年になります。それに関連して、今私の頭の中から離れないことがあります。
 東日本大震災ののち、よく言及されたのが「貞観の地震」。
 手元にある理科年表(平成21年版)で「貞観の地震」を調べてみると以下のような記載があります。

 

「869 7 13(貞観11 5 26) M8.3  三陸沿岸:城郭、倉庫、門櫓、垣壁など崩れ落ち倒壊するもの無数。津波が多賀城下を襲い、溺死者約1千。流光昼のごとく穏映すという。三陸沖の巨大地震とみられる」

 

 東日本大震災の、一つ前の巨大津波をもたらした地震として、脚光を浴びました。
 そして再び理科年表に。

 

「878 11 1(元慶 2 9 29)M7.4  関東諸国:相模・武蔵が特にひどく、5~6日震動が止まらなかった。公私の屋舎一つも全きものなく、地陥り往還不通となる。圧死多数、京都で有感」

 

 今でいうところの首都直下地震に相当します。
 さらに、

 

「887 8 26 (仁和 3 7 30)M8.0~8.5 五機・七道:京都で民家、官舎の倒潰多く、圧死多数。津波が沿岸を襲い溺死多数。特に摂津で津波の被害が大きかった。南海トラフ沿いの巨大地震と思われる」

 

 五機・七道とは、北海道を除くほぼ日本全土を表します。
 これは記載にある通り南海トラフの巨大地震と考えられます。

 

 分かりやすくするため、これら地震の前後関係を描いたものが付図です。
 「貞観の地震」から9年後に現在でいう「首都直下地震」が起こり、さらに9年後に「南海トラフの巨大地震」が起こっています。これより、首都直下地震、南海トラフ巨大地震はそう遠くないときに起こってもおかしくないと考えられます。実際、内閣府も首都直下地震が今後30年以内に起こる確率は70%、南海トラフ地震(M8~M9)が起こる確率も70%程度と公表しています。

 

 今の日本を見ると、とてもこれらの地震に対して備えが十分できているとは思えません。被害額は首都直下地震で約100兆円、南海トラフ巨大地震で200兆円を超えるとされています。
 国家予算が約100兆円ですから、これらの地震が今起こったら日本は間違いなく経済的に沈没してしまうでしょう。
 夜も眠れなくなります。
 特に東京一極集中を何とかしなければ。

 

第一段:南海トラフ巨大地震、首都直下地震が近い ~東日本大震災と貞観地震~

図 貞観地震と東日本大震災に続く地震

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