第百三十三段:宇部市高潮ハザードマップについて①
4月になって市から「宇部市高潮ハザードマップ」が各家庭に配られました。
そしてその説明会も5月に西岐波ふれあいセンター、厚南市民センター、総合福祉会館の3か所で行われました。
市から今回ハザードマップが改訂された背景、そしてその内容などの紹介があった後、私からも今回のハザードマップの前提条件、使い方など少し詳しく説明させていただきました。
今年も早くも非常に強い台風2号が日本に接近中です。
台風が接近したときには、強風だけでなく高潮にも十分な注意が必要です。
ハザードマップには重要な情報がたくさんありますので、すぐ見ることができるように手元に置いておいてください。
覚えていらっしゃる、あるいは今も持っておられる方も多いと思いますが、平成21年(2009年)にも宇部市は高潮ハザードマップを、浸水する可能性のある家庭に配布しています(今回は全戸です)。
前回のこのハザードマップと今回配布のハザードマップの違いは、何でしょうか?
両者の違いをごく簡単にまとめたものが次の表です。
前回のハザードマップが“山口県及びその近く”を通過した最大規模の台風、すなわち枕崎台風およびリンゴ台風の規模を想定していたのに対して、今回は“わが国”を襲った最大規模の台風、すなわち室戸台風および伊勢湾台風の規模を想定しています。
想定した台風の中心気圧は前回が935hPa、今回が910hPaです。
このようなとんでもない台風が宇部を直撃した場合を想定して作成されたハザードマップです。
ちなみに枕崎台風は鹿児島枕崎市に上陸、戦後直後の日本を直撃した台風で、最低気圧865hPa、上陸時916hPa、死者行方不明者は約4,000人、そのうち隣の広島県が約2,000人を占めています。
リンゴ台風は青森まで強い勢力が続き、収穫前のリンゴに非常に大きな被害を及ぼしたことからこのように呼ばれています。
最低気圧925hPa、九州上陸時は940hPa、山口県でも強風による大きな被害がありました。
ただこの時は満潮時と重ならなかったので、高潮による被害はなく、強風による被害が目立ち、62名が犠牲になっています。
室戸台風は京阪神地域を直撃し、上陸時の気圧は912hPa、全壊半壊、床上・床下浸水の家屋が50万棟以上、死者行方不明者は3,000人に上っています。
伊勢湾台風は最低気圧が895hPa、潮岬上陸時920hPa、紀伊半島の東部を伊勢湾沿いに北上、伊勢湾の海水が濃尾平野を埋め尽くし、この高潮災害によって死者、不明者は約5,000人にも上っています。
最近の気象を見ていると、最悪の場合、このような状況も起こりうると考えて備える必要があり、今回のハザードマップの改定となったわけです。