第九十一段:線状降水帯予測②

 この原稿を書いている8月3日、本当に暑い日でした。
 広島に出張したのですが、あまりの暑さにボーっとしていて、バスに乗るところを路面電車に乗ってしまい、最寄りの駅から目的地まで歩道の猛烈な照り返しの中、結構な距離を歩くことになってしまいました。
 宇部も暑かったですね。
 そんな西日本の暑さとは対照的に、東北地方は大変な雨が降っていて、NHKのNEWS WEBを見ると、山形県に大雨特別警報が出され、「災害がすでに発生の可能性 最大級の警戒を」とあります。

 

「前線や低気圧の影響で山形県や新潟県では相次いで線状降水帯が確認されるなど予想を上回る大雨となっていて、気象庁は午後7時15分、山形県内に大雨の特別警報を発表しました。
 浸水や土砂災害などによる重大な災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況で、最大級の警戒が必要です。
 周囲の状況を確認し、少しでも命が助かる可能性が高い行動を取ってください。」ともあります。

 

第九十一段:線状降水帯予測②

 

 図は雨雲の動きで、線状降水帯が現れています。
 このように発生した線状降水帯を見ることは、これまでも気象レーダーによって可能でした。

 

 気象レーダーとは、アンテナを回転させながら電波(マイクロ波)を発射し、半径数百kmの広範囲内に存在する雨や雪を観測するものです。
 発射した電波が戻ってくるまでの時間から雨や雪までの距離を測り、戻ってきた電波(レーダーエコー)の強さから雨や雪の“強さ”を観測します。
 また、戻ってきた電波の周波数のずれ、すなわちドップラー効果によって雨や雪の“動き”を観測します。
 救急車が近づいてくる時と遠ざかる時ではサイレンの音の高さが違うのと同じように、雨や雪が近づいている時と、遠ざかっている時とでは電波の周波数に違いが出てきます。

 

 さらに、令和2年3月からは二重偏波気象ドップラーレーダーという、水平方向と垂直方向に振動する電波(それぞれ水平偏波、垂直偏波といいます。)を用いることで、雲の中の降水粒子の大きさや降水の強さをより正確に推定することが可能となりました。
 気象レーダーは現在全国に20か所設置してあります。
 この近くでは広島県の呉市、佐賀県の神崎市にあります。
 これらの最新の観測システムで雨や雪の強さや動きは観測できても、予測をするにはさらなる観測、大気の解析技術が必要になるのです。(以下次回に)

トップへ戻る