第二段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~南海トラフ巨大地震包囲網~

 前回、“首都直下地震、南海トラフ巨大地震が近い将来必ず起こる。今後30年以内に起こる確率は首都直下地震、南海トラフ地震ともに70%程度と、内閣府が公表している”と書きました。

 

 特に南海トラフ(トラフとは溝の意味。ここでは海溝)で起こる巨大地震は、過去、数十年から百数十年に一度、繰り返し起こっています。
 これは西日本の南の海底のフィリピン海プレート(大きな岩の板)が年4~6㎝の速さで北上し、日本列島がその上に乗っている大陸プレートの下に潜り込んでいます。それによって日本列島は圧力を受け続けています。そして、大陸プレートとフィリピン海プレートの境界の摩擦力が限界に達すると、突然滑って、両プレートの境界である南海トラフで巨大な地震が起こる、というメカニズムです。

 

 ということは、フィリピン海プレートが動きを止めない限り、繰り返し南海トラフ巨大地震は今後もずっと繰り返し起こり続けるということです。
 南海トラフ巨大地震が起こると圧力は解放されて(無くなって)、しばらくは地震がほとんど起こらない時期があります。
 すなわち、西日本は地震がほとんど起こらない“静穏期”と、頻発する“活動期”が交互に起こっています。そして活動期の終わりに南海トラフ巨大地震が起こっています。

 

 フィリピン海プレートによって日本列島が押され、圧力が蓄積されて大きくなると、列島の弱い部分、すなわち活断層(地上に現われていない地下の断層も)が動きます。これが直下地震です。
 ということは、南海トラフの巨大地震が起こる前に、西日本を中心に南海トラフ巨大地震の震源となる領域(震源域と言います)を囲むように、各地で地震が起こります。

 

 問題は1995年の阪神・淡路大震災以降、明らかに今 “活動期”に入っているということです。
 気になったので、阪神・淡路大震災以降、西日本で起こったマグニチュード(M)5以上の地震をプロットしてみました(付図)。

 

 図には南海トラフ巨大地震の震源域も併せて線で囲ってあります(その中には過去の東海地震、東南海地震、南海地震の震源域も示してあります)。この図からわかるように、多くの地震が震源域を包囲するように起こっています。こうなると過去の例から、南海トラフ巨大地震が近づいているのです。

 

 “30年以内に起こる確率”、と言われると多くの人はもうしばらく後に、と思ってしまいがちですが、私自身、この図を見ながら、南海トラフ巨大地震はそう遠くないぞ、と思っています。
脅してばかりですみません。次段から、だからどうするか、について書きたいと思っています。

 

第二段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~南海トラフ巨大地震包囲網~

図 阪神・淡路大震災以後、西日本で起こったM5以上の地震

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