第百九十九段:首都直下地震⑦
8月8日に「南海トラフ地震臨時情報」が初めて出されたので、ここ数段そのことについて書いてきました。
今回からはその前に戻って、首都直下地震について引き続き書きます。
表は第193段の時にも使いましたが、東京都の地震被害想定結果です。
一の位まで数字があり、一見とても正確な被害想定のように見えます。
しかし以前お話しした通り被害想定には前提条件や仮定がたくさんあり、よくわからない所はエイヤッと割り切って計算するところもあります。
したがって、被害想定結果はアバウトなのです。
数値そのものより、その被害が出る原因、過程を明確にして、被害が出る元を断つ、それが被害想定の一番の目的なのです。
ですから表の数字はアバウトに見ることにして、以下説明します。
死者6,148人は地震発生から1日以内の数と考えてください。
数千人から1万人くらいの人が亡くなる、ということです。
自力脱出困難者が3万1,251人、これは閉じ込められる人が数万人いる、ということ。
どこにどれくらいの人が閉じ込められているかが分からなければ、残念ながらこの人たちは命を落とします。
エレベータへの閉じ込めが数万台。
人数にすると数万人から10万人を超すかもしれません。
この人たちの命はどうなるのでしょうか?
トイレは?
帰宅困難者は約450万人。
まずは会社などにとどまって帰宅するのを自制する、という人もいるでしょう。
しかし、やはり多くの人は駅や道路にあふれ、交通の妨げになるでしょう。
そうなると救助活動も消防活動も行うことができず、ますます被害を増大させることになります。
群衆雪崩も各地で起こるかもしれません。
また食糧、水、トイレなどはどうなるのでしょうか?
負傷者は約10万人。
医療体制が崩壊するとやがて命を落とすことになります。
避難者は約300万人、物資がすぐに届くとは思えません。
これらの理由で、いわゆる災害関連死が何万人という桁の多さになりうる可能性があることは容易に想像できます。
これらのことに対して東京都は決して手をこまねいているわけではありません。
都もさまざまな対策を打っています。
その一つが図に示す「東京くらし防災」と「東京防災」があります。
内容は次段以降説明したいと思いますが、是非お読み頂きたいと思います。
また関東に家族、親戚、知人がいらっしゃる方は、その人たちにぜひ読むように勧めて頂ければと思います。