第百三十五段:宇部市高潮ハザードマップについて③

 先週は、宇部市がかつて高潮で大きな被害を受けた2つの台風による被害を比較してみました。
 その2つの台風とは、昭和17(1942)年の周防灘台風平成11(1999)年の台風18号です。

 

 周防灘台風の気圧が950hPa、台風18号のそれが960hPaですから、今回想定している台風の気圧が910hPaということは、気圧の低下だけでも海面が40~50㎝高くなり(1hPaの気圧低下で約1㎝海面が上昇します)、これに強烈な風による吹き寄せ効果によって海面上昇が加わりますので、大変な高潮になることは容易に想像できます。
 前回のハザードマップで想定した台風が935hPa、これと比べても気圧の差だけで25㎝は海面が上昇することになります。

 

第百三十五段:宇部市高潮ハザードマップについて③

 

 図は前回のハザードマップと今回のハザードマップの基になった、県から公表された高潮浸水想定区域図です。
 これより以下のことが言えます。
 番号は図の番号に対応します。

 

①厚東川の西側、すなわち厚南の4地区(原、黒石、厚南、西宇部)の浸水範囲は地形の関係でそれほど変わっていません。
 しかしながら浸水の深さは、前回が5mより深い所は無かったのに対して、5m以上の範囲が広い範囲にわたって広がっています。
 厚東川の東側の藤山地区も5m以上の範囲が広がっています。

 

②厚東の広瀬地区、棚井地区は前回の想定では浸水していませんでしたが、今回の想定では、浸水することになっています。
 高潮が厚東川を逆流する、また降雨によって厚東川を流れる水量が増す、という相乗効果によるものと考えられます。

 

③真締川の上流の川添、広田まで浸水域が広がっています。
 このほかにも多くのところで浸水域が広がったり浸水深が増加したりしています。

 

④逆にわずかですが、五反田川の上流部では浸水域が狭まっているところもあります。

 

 平成30年の西日本豪雨災害では、倉敷市の真備町が洪水によって大変な被害を受けました。
 5mを超える浸水が起こったわけですが、ほぼハザードマップと同じ範囲と深さでした。
 最近の豪雨や台風は以前とは違う、ということを念頭に置いて、備えをしておくことが重要です。

 

 


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