第九十九段:台風シーズン③

 台風14号が過ぎ去った20日早朝、常盤公園の周遊園路を歩くと、強風で折れた木の枝や葉が路上に敷き詰められていました。
 思わず清少納言の枕草子「野分(のわき)のまたの日こそ」を思い浮かべました。

 

「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。~略~大きなる木どもも倒れ、枝など吹きおられたるが、萩・女郎花(おみなえし)などの上によころばい伏せる、いと思わずなり。」

 

 倒れた大きな木や萩・女郎花は見ることができませんでしたが、まさに“いみじうあはれにをかしけれ”なる風情でした。

 

 “大きな木が倒れる”、と言えば、1991年(平成3年)9月の台風19号(以下台風9119号)が思い出されます。
 この台風で、常盤公園の大きな松の木がことごとく倒れました。
 それまで鬱蒼としていた菖蒲園から牡丹園の間の森が、明るくなったのを覚えています。

 

 台風9119号は青森県でも多くのリンゴ園に被害をもたらし「リンゴ台風」とも言われました。
 その風は強烈で、その日私は鉄筋コンクリート5階建ての大学の宿舎の3階にいましたが、強風で、宿舎が揺れました。
 ベランダへ出るガラス戸のガラスがたわむのが分かりました。
 確か宇部空港では最大瞬間風速が秒速50mを超えたと思います。

 

 台風9119号では雨はあまり降りませんでしたが、日本各地に猛烈な風による被害をもたらしました。
 全国で死者62名、負傷者1,261名とあります(Wikipedia:平成3年台風第19号)。
 山口県でも確か7名の方が亡くなりました。
 お一人は風で倒れた家の下敷きで、あとの人は家の外で亡くなっています。
 飛んできたものにあたる、雨戸を閉めようと思って強風にあおられて庭の池に落ちて溺死、水路の様子を見に行って風にあおられて転落、などでした。
 皆さん高齢の方で7人のうち6人が77歳だったと記憶しています。

 

 台風による死傷の原因は大別して4つです。
 1つ目が、上記のように強風による被災
 台風が近づいたら決して屋外に出てはいけません。
 2つ目が台風に伴う大雨による洪水
 平成3年の台風19号では千曲川が氾濫、大きな被害が出ました(写真)。

 

第九十九段:台風シーズン③

 

 3つ目がやはり台風に伴う大雨による土砂災害
 4つ目が高潮災害です。

 

 いずれにしても台風はずいぶん前から進路、雨、風などの気象の状況を知ることができます。
 情報を積極的に取りに行き、早め、早めの備えをしましょう。

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