第六十九段:南海トラフ巨大地震が近い ~南海トラフ臨時情報が出たらどうする?~

 今週も引き続き「南海トラフ地震臨時情報」について書きます。この「南海トラフ地震臨時情報」の発表の手順は以下の通りです。

 

①南海トラフ巨大地震の想定震源域の中でマグニチュード(以下、M)6.8以上の地震が起こるか、この想定震源域内の大陸プレート(ユーラシア・プレートとも言います)とフィリピン海プレートの境界で地震ではなく滑る「ゆっくりすべり」が起こったら、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表。

 

②あわせて「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」が招集され、起こった地震、あるいは「ゆっくりすべり」について検討が行われる。

 

③その結果、M=8以上の地震であれば「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」、M=7以上の地震、あるいは「ゆっくりすべり」だと「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」、それ以外だと「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」という情報が発表される。

 

 ここで賢明な皆さんは以下のような疑問を持たれることでしょう。
 まず、①(巨大地震警戒)や(巨大地震注意)といった情報が出されたら、一体どうすればいいのか。
 また、②M=8以上の地震が起こったのなら、もう南海トラフの巨大地震は起こったのではないか。なぜまた(巨大地震警戒)を出すのか。何に“警戒せよ”というのか。

 

 今週はまず②の疑問に対する回答を説明しましょう。
 実は、南海トラフで起こる地震には様々なパターンがあります。

 

第六十九段:南海トラフ巨大地震が近い ~南海トラフ臨時情報が出たらどうする?~

 

 図は有史以来の南海トラフ沿いで起こった地震が、いつどこで起こったかを示しています。このように様々なパターンがあります。
 今国が考えている典型的なパターンは、想定震源域の半分くらいでまず地震が起こり、しばらくして残り半分で地震が起こる(半割れタイプと言っています)、あるいは一部でまず地震が起こり、その後また残りのどこかで地震が起こる(一部割れ)、といったように。
 このような場合には、M=8クラスの地震が起こったとしても、引き続きM=8クラスの地震が起こる可能性があるのです。ですから(巨大地震警戒)を出して、引き続き警戒を呼びかける、というわけです。

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