第三十八段: 熱海市を襲った土石流 ~衝撃的な土石流の映像~
例年よりかなり早く梅雨入りしたものの、あまり雨も降らず今年は空梅雨かなと思い、のんびりと思い出話を書いていましたら、衝撃的な映像が飛び込んできました。
熱海市を襲った土石流です。
何度も何度も繰り返し放映されたので、皆さんもご覧になったと思います。
NHKのニュースの画面を撮影したものが図-1です。
ものすごい勢いで土石流が流下しています。
これまで毎年のように日本各地で豪雨災害があり、洪水や土砂災害が起こったあとの映像が良く流されていますが、まさに土石流が家屋を押し流すリアルタイムの映像は生々しく、防災を専門とする私にとっても大変な衝撃でした。
土石流手前の茶色いビルと、向こう側の白いビルには、壊れた家、電柱、土石など様々なものが激しい勢いでぶつかっていますが、しっかりと立っています。
多分これらのビルは、もともと谷筋の斜面上に建てられていたので、基礎がしっかりと造られていたのではないかと思います。
さて、今回の土石流、これから原因等の調査が進められると思いますが、今のところ土石流の起こった最上部(源頭部と言います)が埋め立て地盤であり、この埋め立てた土砂が土石流を引き起こした可能性が高いと報道されています(7日現在)。
その源頭部の映像が図-2です(NHKニュースより)。
このようにすっかり地盤がえぐられています。
埋め立て地盤はもともとあった地盤(地山とも言います)に比べ、十分に締め固まっていないので、やわらかい、そして水を含みやすい、という特徴があります。
また、埋め立て地盤と地山との間には、土の重さや硬さ、閉まり具合などが違うので、どうしてもここに境界面(不連続面と言います)ができます。
この不連続面に沿って水が流れやすくなります。
これを「みずみち」と言います。
このみずみちに沿って土砂が滑りやすくなります。雨で盛土部分が重くなり、不連続面に沿ってまず土石流が発生し、激しい勢いで途中の地山も削りながら流下して行ったのではないかと思います。
来週から土砂災害について書いていきたいと思います。