第百九十二段:首都直下地震④私の東京出張

 現役中は月に2~3回、今でも月に1回程度東京へ出張しています。
 東京へ出張すると、確かにいろいろと刺激は受けますが、住みたい、働きたいとは思いません。
 首都直下地震のリスクもありますが、他の理由もあります。

 

 その一つが「可処分所得」
 一見東京の方が給料は高そうですが(実際、額面は高いのですが)、山口県の方が自由に使える金額は多いのです。
 地域連携担当の副学長を務めたときに、生活に必要な経費を計算してみました。

 

 経済産業省にその手法があるのですが、それに従って計算したところ、夫婦と学校に通う子供二人の標準家庭、山口県は東京都内に比べて2/3で済みます。
 給料はそんなに差がありませんから、実質的には山口県に住んでいる方が豊かな生活ができる事になります。

 

 もう一点、これは私の造語ですが、「可処分時間」もあると思うのです。
 東京では平均通勤時間が片道1時間半、往復だと3時間と言われています。
 それもラッシュにもまれて疲れ切って。
 山口県だと平均往復で1時間程度ではないでしょうか(もっと短い気もしますが)。
 それも鼻歌を歌いながら。

 

 1日に2時間の差。
 1年250日働くとすると年間500時間の差があります。
 お金は取り返すことができるかもしれませんが、時間は取り返すことはできません。
 圧倒的に山口県の方が可処分時間は多いのです。
 自分のために時間が使えます。

 

 東京出張に話を戻します。
 私は以下のことを念頭に置いています。

 

①できるだけ東京へは行かない。
②どうしても行かなければならないときには、行ってもすぐ帰る。
③どうしても泊まらなければならない時には、ホテルは山手線の内側か沿線に。できれば羽田空港の近くに。
 山手線の外側には木造住宅が密集。もし地震で火災が起きたら延焼を食い止めることが困難。生きたまま焼かれるのは避けたい。
 羽田空港にはたくさんの備蓄がある。滑走路は液状化対策もしてあり、地震があっても使用可能。救援物資が空路で運ばれる。また山口宇部空港便も比較的早く飛び、宇部に帰ることができる。
④情報が入手できるように、手巻き充電式のラジオを持参。スマホの充電ができるように充電アダプターも。とにかく正確な情報が生死を分ける。手巻き充電式のラジオでもスマホの充電はできるが効率が悪い。でも停電が続くと最後はこれに頼るしかないかも。
⑤携帯トイレを持参。自明ですね。入れる方は我慢できても、出す方は我慢できない。
⑥避難所の載っている東京都の地図。避難者は最大約300万人、帰宅困難者も最大450万人と想定。避難所に行っても食料、水、トイレなどはまず来ない。その周辺は大変なことになる可能性がある。サッサと羽田空港を目指して歩く。
⑦人がたくさんいるところで地震が起こったら、大きな声で第一声を発する。「私の言うことを聞きなさい。私は地震防災の専門家です」。 まずは落ち着いてもらうことが大切。そしてリーダーが必要。あとは状況にて判断。
⑧知人・友人には、身内で東京に住んでいる人がいれば、機会があれば山口県へ帰るように勧めるように勧める。

 

 日頃から知ったかぶりなこと言っていますので、もし東京で地震があって死ぬようなことがあったら、多分笑われるのではないかと思っています。
「三浦はえらそうなことを言っていたけど、死んでしまったね。口だけだったんじゃ。」
 東京で地震にあっても絶対死なないことを真剣に考えています。

 

 


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