第二百二段:地震直前予知への挑戦①
10月になりました。
あと3か月もすると、1995年1月17日の兵庫県南部地震(その震災名を阪神・淡路大震災といいます。以下、こちらを使います)から30年の節目の年がやってきます。
大阪でその強い揺れで目を覚ましました。
その日は開催したばかりの日米都市防災会議の幹事のため会場へ残りました。
しかしながら、結局その会議は吹っ飛び、テレビを見て一日を過ごしました。
翌日被災地へ入り、あまりにもひどい景色を目の当たりにし、全く現実感がわかず(テレビで見た景色とは全く違う感覚で)、アメリカ得意のパニック映画の一シーンの中に入ったような気がしたのを今もはっきり覚えています。
もう30年も経つのか、というのが実感です。
過去、地震の前には異常な現象が現れています。
これを前兆現象、あるいは宏観現象といいます。
江戸時代には地震の前にナマズが騒いだ、ということで様々なナマズ絵という浮世絵(図-1)が大流行しましたが、これもその前兆現象の一つです。
そのほか地震雲が現れた、空が光った、犬が悲しそうに泣いた、などなどたくさんあります。
これらの前兆現象を科学的に研究し、地震の予知に使えないか、という試みは過去何人かの研究者によって試みられています。
ただ地震学の本流には残念ながら今日もなっていません。
その理由はまた書くとして、阪神・淡路大震災にもたくさんの前兆現象が見られました。
その前兆現象を地震の直前予知に使えないかと、様々な手法で科学的に分析を試みた先生の一人が当時大阪市立大学の弘原海(わだつみ)清教授です。
弘原海先生はマスコミの協力も得ながら、全国から前兆現象を集め、それを『前兆証言1519!』(東京出版、1995年)としてまとめ公表されました。
そしてその分析結果を『大地震の前兆現象』(KAWADE夢新書)、1998年)(図-2)にまとめられています。
力作です。
「一般住民が地震の前に「変だな」「不思議だな」と感じた宏観異常情報を収集することにより、地震を回避するための情報行動の仕組みを研究し、具体的に実践するための指針を作成する「環境地震学」を確立することが私の目標となった」とその中に書かれています。
この本の概要は、私の感想も入れながら次回紹介したいと思います。