第百十五段:南海トラフ巨大地震に備える④
先週は南海トラフ巨大地震が起こったのち、どれくらいの時間で津波が襲って来るかについて説明しました。
そしてみんなで助け合って誰もが被災しない時間が十分にあることを説明しました。
今週は先週と同じ図を使って津波の高さについて説明します。
図は上から順に宇部港、小野田港、秋穂漁港における津波の想定時刻歴です。
宇部港のピークは地震発生後約6時間半後、ただし約4時間後にほぼ同じ高さの第一波が、小野田港は約4時間後にピーク、秋穂漁港は第一波が約2時間20分後に、ピークは約6時間後にやって来るということは先週書いたとおりです。
ピーク水位はそれぞれ宇部港2.9m、小野田港3.4m、秋穂港3.1mと想定されています。
ちなみに宇部市の丸尾港は宇部港より少し高く3.2mです。
ここで注意が必要なのは、これらの数値は津波そのものの高さではないことです。
水位、すなわち満潮時にタイミング良く(悪く?)津波が襲ってきたときの海面の高さです(海抜表示)。
満潮時と言っても、大潮の時と小潮の時で海面の高さが違いますが、ここでは満潮時の平均の高さ、この辺りでは平均1.8mですが、これが加えてあります。
したがって、津波そのものの高さは宇部港では2.9-1.8=1.1m、小野田港では3.4-1.8=1.6m、秋穂港では3.1-1.8=1.3mということになります。
こう見ると津波そのものの高さは太平洋岸の10~20m、場所によっては30m以上に比べるとはるかに低いことが分かります。
しかも干潮時に津波が来たときには、干満の平均海面高さよりも低いことになります。
実は、高潮災害の多い瀬戸内海、特に山口県では高潮対策のために、これ以上の高さに堤防が整備されています。
ですから高さ的には津波の心配はいらない、ということになりそうです。
が、そうならないところが災害の難しいところです。
改めて南海トラフの巨大地震による揺れについて書く予定ですが、大きな揺れが3~4分続きます。
そうすると地盤の柔らかいところ、すなわち埋め立て地や干拓地、むかし川や池だったところでは液状化が起こります。
そのようなところでは堤防が沈んだり傾いたりすることが考えられ、堤防としての機能が失われる恐れがあります。
次回はその辺のことを説明します。