第二百三段:地震直前予知への挑戦②
先週の日曜、孫が通う幼稚園で運動会がありました。
小さな子どもたちが元気いっぱいに走ったり、ダンスをしたり、太鼓をたたいたり。
その姿を見て、私は目頭が熱くなりました。
私の頭の中には、いつも南海トラフ巨大地震、首都直下地震のことがあります。
これらの地震が今起こったら多くの犠牲者が出て、日本の政治・経済は大混乱になります。
そうなったとき、この子たちの将来はどうなるのだろうか、と考えてしまうのです。
何としてもこの子たちに、安全で、安心して豊かに生活でき日本を残さなければ、と改めて思ったのです。
前段(二百二段)では阪神・淡路大震災の時に見られたさまざまな前兆現象を地震の直前予知に使えないかと、科学的に分析を試みた、当時大阪市立大に務めていた弘原海清教授の紹介をしました。
弘原海先生がマスコミの協力も得て全国から前兆現象を集めて「前兆証言1519!」(東京出版、1996年、図-1)として公表前兆現象は大まかに種類に分類できるとされています。
①空と大気の異常:地震雲がその典型
②大地の変化:地鳴り、街中で温泉が湧き出したなど
③人間:地震が来る前に特別な不安感、恐怖感などを感じる
④獣類の異常行動:パニック状態、犬の恐怖に満ちた鳴き声など
⑤鳥類の移動:カラスが大集団を作って、震源地から遠くまで逃避するなど
⑥魚類の異常行動:ナマズは騒ぐ。魚は水槽から飛び跳ね出るなど
⑦爬虫類の異常行動:冬に姿を見ないヘビ、カエルなどが地上に現れる
⑧昆虫の異常行動:冬見ることがないチョウやハチなどが姿を現すなど
⑨植物の異常
⑩その他、テレビ、ラジオの電波異常などこのような多くの宏観異常現象(前兆の一種)
が、主観的な思い込みや勘違いでないこと、確かに存在することを示しています。
そして「これまで宏観異常現象を取り入れた地震予知学が、組織的かつ体系的になされてこなかったとすれば、幅広い分野の専門家が協力し合って総力を結集し、可能性を検討してみる必要があるのではないだろうか。」
「なにも知らずに突然命を失うことは、阪神淡路大震災の犠牲者6千数百人をもって最後にしたい。これが私の願いである。」と。
残念ながら先生に直接会ってお話を聞くことはできませんでした。
2011年1月、東日本大震災の2カ月前に亡くなられたからです。
もし先生がご存命なら、東日本大震災のことをどう思われたでしょうか?