第百七十四段:南海トラフ巨大地震山口県死傷者ゼロプロジェクト⑥
これまで揺れに対する備えについて書いてきました。
その前提となっているのは平成26年3月に県から公表された地震・津波被害想定結果です。
実は、現在国が南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しを行っています。
国の「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」(平成26年3月28日中央防災会議決定)から10年が経ち、建築物の耐震化、津波防波堤や護岸など、揺れや津波に対するハード対策が進んだこと、その一方で高齢化や過疎化が進んでいることなど、社会の様子も変化していることがその原因です。
その一方で、能登半島地震では道路の被害の影響、ライフライン被害の影響、被災地支援の困難さなど、多くの教訓を残しました。
そのこともあり、山口県も来年度早々、南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しを行います。
ただ、揺れの強さや長さ、津波の高さや到達時間などは前回の想定とあまり変わらないと思います。
前提となる断層が変わらないからです。
被害の想定結果は異なると思いますが。
そのことを念頭に置きながら、これから数回、津波に対する備えについて書きたいと思います。
その前提となるのは、前回(平成26年3月)の被害想定結果です。
図は宇部市周辺の港での津波の時刻歴(海面の時間的変化の様子です。
横軸が時間(分)、縦軸が水位(標高))です。
この水位は、満潮時に津波が襲ってきた、ということが前提になっています。
しかもずっと満潮のまま、津波が押しては返す、という前提で描かれています。
ちょっと現実離れしていますが。
でもそのことが非常に重要な意味を持ちます。
さて、この図より、小野田港では245分後にピークが、宇部港ではピークは約390分後ですが、それとほぼ同じ高さの第一波が約240分後に到達します。
丸尾港のピークは約300分後ですが、第一波は約160分後に到達します。
その時のそれぞれの水位は、小野田港約3.4m、宇部港約2.8m、丸尾港約2.7mです。
これらを見てどう備えるかを、次週以降に書きます。