第四十一段:平成30年7月西日本豪雨災害 ~率先避難体制づくりを~

 先週、「率先避難体制づくり」について触れました。
 今週はこのことについて少し具体的に書きたいと思います。

 

第四十一段:平成30年7月西日本豪雨災害 ~率先避難体制づくりを~

 

 図は県が作成した「率先避難体制づくり」のイメージ図に、私が少し加筆したものです。
 これは土砂災害の危険性のある地域“土砂災害警戒区域”、通称“イエロー・ゾーン”にある地域を対象に「率先避難モデル地域」を考えたものです。

 

 このモデル地域(通常、自治会ごとに体制を作るといいでしょう)をいくつかの班ごとに、この例では1班から7班まで、さらに世帯の多い班はいくつかのグループに分けます。一つの班、あるいはグループは連絡や避難の効率を考えて大体10世帯以下がいいでしょう。

 

 この各班、あるいはグループごとに「リーダー」と「班長」を決めます。「リーダー」は「班長」に避難に関する情報を伝える人で、「班長」はその班やグループの住民の皆さんに避難の呼びかけをする人です。

 

 「リーダー」は情報を伝える人ですから、

 

①気象状況や避難などに関する情報を知る、あるいは入手することができる人でなければなりません。また、
②班やグループ内の住民と顔の見える関係ができている人、さらに、
③携帯電話やスマートフォンで班長をはじめ班やグループのメンバーに連絡ができる人、であることが必要です。

 

 「リーダー」も「班長」も不在の時のことを考えて、「副」の人を指名しておくことも必要です。

 

 地域ごとに事情が様々あると思われますので、以上述べてきたことは参考にして、その地域に合った体制を考えられれば良いと思います。
 要は、“避難遅れの人を「ゼロ」にする”ことを第一目標に考えることが大事です。

 

 以下は「率先避難体制」の話ではありませんが、実際に宇部市でかつてあったことです。
 それは、台風が近づいて、避難を考えなければならない状況の時、たまたま自主防災会の会長さんと副会長さんは福岡市の防災センターへ研修に行って留守をしておられ、残った自主防災会の事務局の人が大変苦労されたということです。

 

 このように“災害は突然やって”来ますので(この時は事務局の人にとっては二重の災害でした)、トップがいなくても組織が機能するように必ず「副」を、「副」もいないときもどうするかを決めておきましょう。これは危機管理の最も基本的なことの一つです。
 情報の入手は必ずしも「リーダー」だけの仕事ではありません。「班長」も住民も早め早めに情報の入手ができれば、それだけ避難がスムースにできることになります。

 

 ということで、次週以降、情報の入手について書いていきたいと思います。

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