第百七十段:南海トラフ巨大地震山口県死傷者ゼロプロジェクト②
先週、南海トラフの巨大地震が冬の深夜に起こると、山口県全体で家屋の倒壊等で死者37人、負傷者約1,350人が出るという想定結果になっていると書きました。
課題はこれをどうすればゼロにできるかです。
まずは生活している自宅、あるいは勤務先の建物に耐震性があるかどうかを調べる必要があります。
木造家屋は2000年以降に建てられたものであれば、よほどメンテナンスが悪くない限りまず大丈夫です。
その一方で、1981年以後に建てられた建物は「新耐震」と一般に呼ばれている新しい耐震設計基準によって建てられているので、木造家屋も大丈夫だと思っている人(一部マスコミも)がいますが、必ずしも大丈夫とは言えません。
その理由は「新耐震」は鉄筋コンクリート建物を主な対象としていて、鉄筋量を増やすように、といったことが見直されたからです。
もちろん木造も見なおされてはいますが。
実は、木造家屋については1995年の阪神・淡路大震災の被害を教訓に本格的に改定されたのは2000年なのです。
図-1は熊本地震で震度7を記録した益城町及びその周辺の木造家屋全戸(対象2,340戸)の被害率をまとめたものです。
この図より「新耐震」で建てられた家屋でも2000年前後で大きく被害率が違うことがお分かりと思います。
1986年~2000年の間に建てられた家屋は、「旧耐震」と呼ばれる1980年以前に建てられた家屋よりも耐震性はありますが、改定直後に建てられた家屋は築後30年以上経っていますので、いろいろと傷んでいることが考えられます。
したがって、耐震診断をすることをお勧めします。
耐震診断はインターネットでも簡単に行うことができます。
例えば図-2は「一般財団法人・日本建築防災協会」(https://www.kenchiku-bosai.or.jp/taishin_portal/daredemo_sp/)のホームページにあるものですが、10項目の質問に回答する形で診断できます。
その結果どうすればいいかも書いてあります。
また宇部市は「旧耐震」で建てられた家屋を対象にして、耐震化促進のための補助制度「木造住宅の耐震診断及び改修等にかかる事業費の補助制度」などがあります。
是非こういった情報を収集して耐震診断をしていただければと思います。