第六段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~安芸灘・伊予灘の地震も迫っている~

 山口県に大きな被害をもたらす地震で、南海トラフの巨大地震と同じくいつ起こってもおかしくない地震がもう一つあります。
 安芸灘・伊予灘の地震がそれです。

 

 山口、広島、愛媛、大分の4県に囲まれた海域では過去繰り返し大きな地震が起こっています。図-1はそれら地震の震央を示したものです。大きな丸はM7クラス、小さい丸はM6クラスの地震です。

 

第六段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~安芸灘・伊予灘の地震も迫っている~

図-1 1649年以降安芸灘・伊予灘で起こった地震の震央

 

 この海域で記録が残っている最も古い地震は1649年、現在の伊予市と大洲市の沖合で起こったM7の地震です。その後、M6以上の地震が、2014年3月のM6.2の地震まで10回あります。

 

 図-2はこれら10個の地震でどれくらいのエネルギーが出されたか(専門的には解放と言います)、その解放エネルギーを縦軸に、地震の発生年を横軸にとって描いたものです。この図からわかるように、多少不規則ではありますが、階段状になっていることが分かります。そしてその階段の先端はほぼ一直線になります(図中の斜めの破線)。

 

第六段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~安芸灘・伊予灘の地震も迫っている~

図-2 地震の発生履歴と解放されたエネルギーの関係

 

 この海底ではフィリピン海プレートが大陸プレート(ユーラシアプレートとも言います)の下にもぐっており、その境界でこのように繰り返し地震が起こっています。そして、図中の斜めの破線の傾きはこの海底でフィリピン海プレートの動きによって蓄積される地震エネルギーの割合と考えられます。

 

 地震がしばらくないとエネルギーが蓄積され、限界に達すると地震が起こる、それを繰り返していることが分かります。そのような目で図-2を見ると、1905年の明治の芸予地震(M7クラス、⑥番目)以来M7クラスの地震は起こっていません。
 明治の芸予地震以後、地震が4回(⑦~⑩番目)起こっていますが、これらはいずれもM6クラスで、蓄積されている地震エネルギーは十分解放されておらず、相当たまったままになっていることが分かります。その量はM7クラスです。
 しかもこの図から見て、いつ起こってもおかしくない状況、すなわちテンパっている状況であることが想像できます。

 

 M7クラスの地震が安芸灘・伊予灘で起こると山口県の東部は強い揺れに襲われ、被害も相当出る恐れがあります。
 宇部周辺もやはり強い揺れに襲われます。
 2001年3月14日の昼に起こった“平成芸予地震”を記憶されている方も多いと思いますが、その時よりも強く長い揺れが襲ってきます。

 

 南海トラフ巨大地震と同様、安芸灘・伊予灘の地震に対しても十分備えをしておく必要があります。来週はこの地震に対してどう備えるか、を書きたいと思います。

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