第七段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~安芸灘・伊予灘の地震による山口県の震度予測~

 山口県、広島県、愛媛県、大分県に囲まれる瀬戸内海の安芸灘・伊予灘の海底にはマグニチュード(M)7クラスの地震エネルギーがたまっていて、いつ地震が起こってもおかしくない状況にある、したがって、南海トラフ巨大地震と同様、安芸灘・伊予灘の地震に対しても十分備えをしておく必要がある、と先週書きました。

 

 この安芸灘・伊予灘の地震に対しても山口県は被害想定を行っています。
 図は安芸灘・伊予灘で地震が起こった時の県内の震度分布です。この被害想定は1905年の明治芸予地震と同じマグニチュード(M=7.25)、同じ震源で起こった場合を想定して行われています。

 

第七段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~安芸灘・伊予灘の地震による山口県の震度予測~

図 安芸灘・伊予灘で地震が起こった時の震度分布

 

 この図からわかるように、震源に近い県東部で震度が高く、岩国市、柳井市、周防大島町ではほとんどが震度5強、岩国市の錦川下流で地盤の悪い市街地や周防大島町の震源に近い東和地区の海岸線で震度6弱となっています。

 

 宇部市はほとんどの地域で震度4、一部市南部や厚南地区の埋め立て地域で震度5弱となっています。気象庁の震度の説明によると、震度4は、『ほとんどの人が驚く、電灯などの吊り下げた物は大きく揺れる、座りの悪い置物が倒れることがある』、震度5弱ですと、『大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる、棚にある食器類や本が落ちることがある、固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある』、とあります。

 

 この震度分布は、図のように周防大島町の東に震源を仮定した結果です。過去の例から、もっと西で、すなわち宇部に近いところで地震が起こる可能性もあります。当然宇部に近い所で起こると揺れは強くなります。さらにこの震度分布は山口県を250mx250mのメッシュに区切り、それぞれのメッシュの平均震度を表したものです。

 

 地震の揺れは地盤が柔らかいか固いかによって、また地形によっても異なります。250mx250mのメッシュにはこれら地盤条件や地形の細かい変化の様子は入っていません。
 これらのことを考えると、宇部市内でも、1ランク上の震度を考えておく必要があります。1ランク上すなわち震度5強になると、『物につかまらないと歩くことが難しい、棚にある食器類や本が落ちてくるものが多くなる、固定していない家具が倒れることがある、補強されていないブロック塀が崩れることがある』、となり、負傷者や最悪の場合には死者も出る可能性(倒れてきたブロック塀の下敷きになるなど)が出てきます。

 

 今一度家の中や周辺を見直し、近い将来必ず起こる地震に備えましょう。

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