第百八十五段:山口県地震・津波防災対策検討委員会⑦
前回まで、津波による死傷者はゼロにできるということを書きました。
今回から津波以外の原因による死傷者をゼロにできる事を書きます。
南海トラフ巨大地震による人的被害の内容を第183段で示しました。
再度その表を示します。
この表より、④の津波以外で死傷者の出る原因は、①建物の倒壊(屋内収容物移動・転倒)、②土砂災害、③火災、⑤その他、となっています。
①の屋内収容物移動・転倒というのは家具や什器類の移動や転倒のことです。
落下も含まれます。
⑤のその他は、屋外のブロック塀や自動販売機の転倒、ビルの割れたガラスや看板の落下などです。
負傷者数は死者数と違って、①の家屋の倒壊が最も多く、火災も結構多いことが分かります。
これらの数をゼロにする、そのカギは「緊急地震速報」です。
最近は地震が多く、緊急地震速報もよく出ますので、もうすっかりお馴染みなっていると思います。
この緊急地震速報、南海トラフの巨大地震が起こったら必ず出されます。
そして強い揺れが来るまで数十秒あります。
図はその説明図です。
この図では山口県に最も近い四国沖で地震が発生したと仮定しています。
宇部と震源までの距離は約220㎞です。
地震が起こって緊急地震速報が出されるまで大体5~15秒かかります。
一方、被害をもたらす強い揺れ、すなわちS波の伝播速度は約4㎞/秒です。
220㎞をS波が伝わる時間は220㎞÷4㎞/秒=55秒です。
この55秒から緊急地震速報が出されるまでの時間5~15秒を引くと40~50秒となります。
すなわち緊急地震速報が出されて、強い揺れが来るまで40~50秒あります。
過去実際に起こった地震の例では、紀伊半島沖(図中の星印の周辺)で起こることが多いようです。
その場合はもっと時間があることになります。
もうお分かりですね。
この時間をいかに有効に使うか、もっと言えばどう身の安全を確保するか、ということです。
その話は次回にしますが、皆さんも考えてみてください。