第百六十一段:関東大震災から100年⑥被害額

 今回は関東大震災がいかに我が国にとって大変な出来事だったかを経済的な面から書きます。

 

第百六十一段:関東大震災から100年⑥被害額

 

 表は令和5年版防災白書にある、関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災の被害の比較表に多少追加して作成したものです。
 少し専門的になりますが、東日本大震災だけ地震規模が「モーメントマグニチュード」となっています。
 単にマグニチュードとあるのは「気象庁マグニチュード」のことで、これは地震記録の振幅から求められます。
 ところがマグニチュードが8を超えると、地震記録の振幅はそれほど大きくなりません。
 そこで地震の規模を正確に表すためにマグニチュードが8以上になると、一般的に地震の震源の広さから求められる「モーメントマグニチュード」が使われます。

 

 さて、表に戻ります。
 直接死・行方不明は関東大震災が圧倒的に多く、10万5千人となっています。
 この人的被害も圧倒的ですが、経済的被害も圧倒的です。
 経済被害約55億円は、当時のGDP約149億円の約37%で、阪神・淡路大震災、東日本大震災の約2、3%と比べて桁違いです。
 また国家予算約14億円の約3.9倍に及び、他の地震のそれらと比率が全く異なります。

 

 ちなみに近い将来起こると考えられている首都直下地震、その被害額が約100兆円、南海トラフ巨大地震が約200兆円と想定されています。
 国家予算の約1年分、および2年分ということになります。
 1兆円をものに例えると、本四架橋の小島~坂出ルート、距離が約10kmですが、この建設費がほぼ1兆円です。
 100兆円の被害ということは、1年分の国家予算が消えてしまう、あるいは小島~坂出ルートが100本消えてしまう、ということです。
 南海トラフ巨大地震が時を前後して起こると、合わせて国家予算の3年分が消えてしまう、関東大震災に近い割合になります。
 本四架橋300本相当の財産が消えてしまうと、我が国の様々な活動にボディーブローできいてくるでしょう。

 

 事前に対策をすれば10分の一の費用で済む、という試算があります。
 政府もマスコミもいまだに東北の復興に十分な予算を、と言っていますが、それはそれでわかりますが、東北だけでなく次の大災害に今から予算を、というように頭を切り替える必要があると強く思います。

 

 


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