第百六十四段:令和6年能登半島地震②
連日寒い中、懸命の救助作業、救援活動が行われています。
1月1日の地震から10日が経過しました(この原稿は10日に書いています)。
先週(4日)の時点では73名だった犠牲者の数は206人に増え、安否不明者も52名と報道されています(NHKニュース)。
このままいけば、残念ながら犠牲者の数は250人を超えるおそれがあります。
さらには、25,700人を超える人たちが多くの避難所で厳しい生活を送っておられます。
停電が14,400戸、断水が58,900戸と、電気も水もない中で、お医者さんの診断も受けられない、またトイレも思うままにならない、衛生状態も悪く、感染症も流行の兆しがあるという、極限状態に近い状況です。
このような状況が続けば、災害関連死も増え、さらに犠牲者の数が増えるでしょう。
孤立状態にある地区もまだ22地区、3,100人に上るそうです。
なかなか救援活動が進まない大きな理由の一つに、道路の被害、寸断が挙げられます。
非常に多くの場所で大規模な斜面崩壊などの土砂災害が起こっています。
10日現在、高速道路、国道、都道府県道等で合計100 区間近くで通行止めになっています(内閣府、非常災害対策本部)。
通れる道路でもゆっくりと、しかも少数の車両しか通れないのでしょう。
であれば、ヘリコプターやドローンをどんどん投入できないのか、と思います。
ただこれらの運行には安全上の厳しい条件があり、多分天候や視野、視界の問題等で思うように使えないのではないかと思います。
このような時に威力を発揮するのが船による輸送です。
大量の物資や水を運ぶことができますし、船自体が避難所や診療所の役割を果たすことができます。
ところがこの地震によって日本海側の非常に広い範囲にわたって海底が隆起しました。
最も大きく隆起したところは4mにも及ぶようです。
このため港が使えなくなってしまいました。
写真は国土地理が公開している隆起した珠洲市の海岸です。
港が完全に陸地になっています(右)。
このように様々な悪条件が重なったのが今回の震災です。
早く食料、水、医薬品、トイレなどが行き届き、少しでも今の窮状が改善されるよう祈るばかりです。