第八十三段:事業継続計画(Business Continuity Plan: BCP)の家庭版、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP)のススメ
ここ数回、南海トラフの巨大地震が目の前に迫っている、と書いてきました。
私は事実を述べているだけなのですが、取り方によっては脅しているようにも受け止めることができるでしょう。
このことで、ふと昔のことを思い出しました。
それは教え子の結婚式に呼ばれたときのことです。
彼は非常に優秀かついい男(顔ではなく心が)で、非常に親しくしていましたから、公私にわたっていろいろなエピソードを知っていました。
スピーチを頼まれましたので、一計を案じ、まずは落として、落として、そして最後に劇的に持ち上げて、彼がいかに素晴らしい男であるか、というストーリーを考えました。
披露宴当日、スピーチが始まりました。
予定通り徐々に彼を落として、落として、出席者の皆さんの笑い声も一段と大きくなったころ、私はすっかり酔っ払って、最後に劇的に持ち上げることなくスピーチを終わってしまいました。
後日彼から「披露宴のビデオを見ますか」と、ニヤッと聞かれたのですが、当然丁寧に断りました。
南海トラフの巨大地震が来るぞ、来るぞ、と脅しているだけで、どう準備して対応するかということをきちんと書かないと、新郎を落としっぱなしで終わったスピーチと同じになってします。
そこでこれから数回にわたって、南海トラフの巨大地震に限らず風水害も含めて、どのように準備するかを書きたいと思います。
事業継続計画(Business Continuity Plan:通称BCP)というものがあります。
業務継続計画とも呼ばれてて、ご存じの方も多いと思います。
災害があっても最低限の事業が継続できるように、そしてできるだけ早く通常の業務に戻れるように早期に復旧できる計画を事前に立てて、対策もしておきましょう、というものです。
わが国の大企業はほぼこのBCPを策定しています。
ただ中小の企業はその策定率がぐっと下がります。
その理由として、BCPはISOと混同されて、BCPを策定するには大変なお金と人と時間がかかる、また維持費もかかると思われている節があるのです。
確かにBCPは考えれば考えるほど難しくなり、時間もかかります。
しかし実際にはBCP策定の第一歩を始めることはそう難しいことではありませんし、時間もお金もそんなにかかりません。
少しずつ見直しをしながら充実したものにしていけばいいのです。
私はサプライチェーンを考えると、中小企業こそBCPを策定する必要がある、さらに中小企業のBCPを有効にするには、家庭の防災計画、私の造語ですが、家庭継続計画(Home Continuity Plan: HCP) が非常に重要であると考えています。
このHCPの中身は自分の家庭に合うようにハザードマップ等に書いてあることをBCPの形式にまとめたものです。
先週も書きましたが、南海トラフ巨大地震が起こっても、山口県は死傷者ゼロにできる、努力が報われる県と思っています。
次週から具体的にHCPの策定方法をご紹介したいと思います。