第百十四段:南海トラフ巨大地震に備える③
先週は宇部市、山陽小野田市、山口市の人的被害について紹介しました。
これら3市の死因は津波であること、そして地震の発生する季節や時間によって犠牲者の数がかわり、宇部市で13~29人、山陽小野田市で45~77人、山口市で21~23人と予測されていることを書きました。
今週からはこれらの数をゼロに出来ることを説明します。
まず先週示した犠牲者の数は、地震が起こってすぐ避難する人の割合が20%、しばらくして避難する人が50%、避難しない人が30%という前提条件で算出されています。
この割合は東日本大震災、北海道南西沖地震(1993年7月、津波による犠牲者約200人)、日本海中部地震(1983年5月、津波による犠牲者100人)の調査結果を参考にしたものです。
避難しない人の割合が30%なのです。
ということは津波が襲って来る可能性のある地域にいる人全員が、地震が起こってすぐに避難すれば、犠牲者の数はずっと少なくなるはずです。
では避難できる時間があるのでしょうか?
図は上から順に宇部港、小野田港、秋穂漁港における津波の想定時刻歴です。
縦軸は海面の高さ(水位)、横軸は地震が起こってからの経過時間です。
港周辺の地形や港の向きなどによってだいぶ波の形が違います。
宇部港は水位がピークになるのは地震発生後389分(約6時間半)後です。
ただし240分(4時間)後にほぼ同じ高さの第一波が押し寄せます。
小野田港は245分(約4時間)後にピーク、約400分(約6時間40分)後に第2波が押し寄せます。
秋穂漁港は第一波がおよそ140分(2時間20分)後、ピークは367分(約6時間)後です。
最も早く第一波が押し寄せてくる秋穂漁港でも2時間以上の時間があります。
これだけの時間があれば慌てることなく、お年寄りや身体の不自由な人、寝たきりの人もみんなで助け合って避難することができます。
例えば、車を使って避難をするにしても、事前に計画を立てておけば渋滞を起こすことなく安全に避難できます。
大切なのはその体制を作っておくことです。
来週は津波の高さについて説明します。