第六十四段:トンガ王国の火山大噴火 ~海底地震・津波観測システムが津波をキャッチ~

 14日、15日、17日と立て続けにトンガ王国で火山が大噴火し、その影響で8,000㎞離れた我が国にも津波が押し寄せてきました。
 津波の高さそのものは1m前後でしたが、多くの船が転覆したり、牡蠣などの養殖いかだに大きな被害を与えたりするなど、改めて津波の脅威を感じました。

 

 今回の津波ですが、どうも特殊な原因で起こったようです。
 通常、津波は地震によって海底が上下に動き、海水もそれに従って上下に動き、それが波となって周辺に伝わっていく、あるいは地震や火山の噴火によって山の斜面が大崩落を起こし、その大量の土砂が海に落下して波を起こしてそれが伝わっていく、などして起こります。
 ところが今回は火山の大噴火によって空気が衝撃波となって伝わり、その衝撃波が海面を押して波を起こしたようです。詳しいメカニズムはこれから研究されていくと思いますが、通常の津波よりも早く伝わったり、周期が短かったり、といった特徴を持っていたようです。
 それで気象庁の津波予測、警報、注意報発令が後手後手になったようです。

 

 この防災徒然日記、過去2回にわたって防災科学技術研究所が日本海溝や千島海溝に設置したS-netについて書いてきました。
 実はこのS-netが今回の津波を見事にとらえていたのです。

 

第六十四段:トンガ王国の火山大噴火 ~海底地震・津波観測システムが津波をキャッチ~

 

 図は防災科学研究所のホームページにある図に私が少し加筆したものですが、S-net が15日の水圧の変化をとらえている様子です。
 この図にはDONET1、DONET2という文字が見えますが、このDONETは南海トラフに設置されている地震と津波を観測する、S-netよりも早く同じ目的で設置された観測システムです。
 このDONETについてはこの防災徒然日記でS-netの次に紹介しようと思っていたところでした。

 

 さて、この図より、DONET1、DONET2、S1というトンガに近い南側の観測点の水圧にまず変化が起こり(20時少しあと)、その変化がS2、S3、S4、S5と北になるにしたがって遅れて起こっていることが分かります。
 このことはトンガから伝わってきた津波がだんだん北上して行ったことを意味します。
 今回は新しいことづくめで、残念ながらこの水圧の変化が津波の予報に使われた様子はありませんが、今後研究が進んで津波の予報に使われるのではないかと期待しています。

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