第六十五段:トンガ王国の火山大噴火 ~大爆発の空振が津波を起こす~

 1月22日(土)の午前1時ころ目が覚めて、しばらく眠れそうになかったので居間のソファーに座って、瞑想でもするか、と思っていたら突然緊急地震速報が鳴りました。
 すぐにテレビをつけてニュースを。
 震源は日向灘の海底で、深さは約40km、地震の規模(M)は6.4(その後6.6に修正)、大分県と宮崎県で最大震度5強を観測しました。

 

 最近このコラムで“イヤーな地震”と言う言葉をたびたび使っていますが、今回の地震も“イヤーな地震”でした。
 その理由は再来週書くことにして、今週と来週は引き続きトンガで起こった火山の大噴火について書きます。

 

 この大噴火で起こった津波が特殊な原因で起こったようだ、と先週書きました。
 火山の大噴火によって衝撃波が起こり、空気が振動して、その振動(空振)が海面を押して波を起こした、というものです。

 

第六十五段:トンガ王国の火山大噴火 ~大爆発の空振が津波を起こす~

 

 図はそのメカニズムを説明したものです。
 直後に東北大学の津波の専門家である今村文彦先生が、「火山の爆発による空振と呼ばれる空気の圧力変化が海面変動を引き起こし、日本に伝わる過程で増幅されたと考えられる。過去に例のない珍しいメカニズム」との見解を示しておられます(河北新聞ホームページより)。

 

 先週書いたDONETやS-netによる水圧の変化の他に、日本列島の気圧の変化も観測されており、今村先生の見解が正しいことが明らかになっています。
 実は、気圧の変化は世界中で観測されており、津波の観測された時間も明らかにされ、今回の津波はこれまでにない速さ、すなわち音速で伝わったということが明らかになって来ています。

 

 1960年5月に起こった世界史上最大の地震であるチリ地震(M=9.5)による津波は、太平洋を平均時速750㎞で伝わり、23時間後に日本に到達しています。
 1日弱で地球の反対側に津波が届いた、というスピードにも驚きますが、今回の津波速度は音速、とうことですから時速だと約1220㎞になります。
 通常の津波よりもはるかに早く伝わったことで、気象庁の津波予測、警報、注意報発令が後手後手になったことも理解できます。
 瀬戸内海は幸い津波の被害は非常に受けにくい所です。壊滅的な津波被害が起こるとしたら、大きな隕石が瀬戸内海に落下したときくらいでしょう。ただそれはもうハリウッドのパニック映画の世界ですが。

 

 今回のトンガの火山の大噴火で気になることがもう一つあります。
 それを次回は書きたいと思います。

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