第百五十三段:「南海トラフ巨大地震による津波想定②」

 先週は、国の南海トラフ巨大地震による津波想定結果(平成24年発表)のうち、日本中に大きな衝撃を与えた、高知県の黒潮町で34.4mの津波高さのことを書きました。

 

 被害想定では、南海トラフ巨大地震の断層の、どこで大きな滑りが起こるか、合計11ケースの想定が行なわれています。
 断層面での滑りが大きいということは、それだけ海底の上下方向の動きが大きく、それに伴って海水面の上下方向の変化も大きいということになります。
 先週の黒潮町の34.4mはその中の最大の津波高さ、ということです。

 

 実は、黒潮町の34.4mばかりがクローズアップされて、他のところはそんなに高い津波は来ないのではないか、といった思い違いが起こっているのではないかと心配しています
 そこで今週は11ケースのうち、基本ケースと呼ばれている5ケースの津波高さの想定結果を紹介します。

 

第百五十三段:「南海トラフ巨大地震による津波想定②」

 

 図がそれで、ケース1は大きく滑る場所が「駿河湾~紀伊半島沖」、ケース2は「紀伊半島沖」、ケース3は「紀伊半島沖~四国沖」、ケース4は「四国沖」、ケース5は「四国沖~九州沖」です。

 

 ケース1では、伊豆諸島の新島村、伊豆半島の下田市で約30m、紀伊半島の志摩市でも25mを超える津波が、ケース2ではやはり志摩市で23m程度、御前崎市でも20m近い津波が、ケース3では紀伊半島の御坊市~志摩市で15~20m、四国の土佐清水市~徳島県美波町で20~25mの津波が想定されています。
 ケース4が黒潮町34.4mの想定、ケース5は土佐清水市で黒潮町に負けない34mを超える津波が想定されています。

 

 このように、南海トラフの巨大地震が起こると、これらは最悪の場合の想定ですが、伊豆諸島から西の太平洋沿岸の各地で20mを超える津波が襲う可能性があることを意味しています。津波に対するハード、ソフトの対策が待ったなしの状況です。

 

 


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