第五十二段:首都直下地震が近い ~10月7日発生、関東のいやな地震~

 真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞され、大いに喜ぶとともに、驚きも感じました。
 正直、「え、こんな研究がノーベル賞の対象に!?」という驚きです。
 ノーベル物理学賞と言えば、物質を構成している素粒子のそのまた元となる超超極微の世界の究明とか、宇宙の誕生に迫る何百光年という想像もできないスケールの中のこれもまた超超極微の物質の運動など、巨大な装置やお金をかけたビッグサイエンスでないととてもできない、おおよそ我々の生活には無縁のところの出来事の研究成果に対して与えられるものと思っていたからです。
 従って、ノーベル物理学賞は防災や地震工学の研究をやってきた私には全く無縁の世界と思っていました。

 

 が、真鍋先生の研究は、大気と海洋を結合した物質の循環モデルを提唱し、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという予測モデルを世界に先駆けて発表した、というもので、その研究の価値は十分わかってうえで、あえて私流の表現をさせて頂くと、実に大風呂敷を広げたスケールの大きな研究で、同時にモデルを発表された当時は検証すべきことが山ほどある、言ってみれば網のような研究であったのではないかと思うのです。
 これはこれまでのノーベル物理学賞の対象が、精緻を極めて検証をして実証をした、というものと対局をなすものと考えるのです。
 その重要性が世界の人々に認識されるまでには、今日の地球温暖化によって、世界各地で大変な自然災害が起こるまで時間が必要だったのでしょう。

 

 実は地震学の分野でも、日本人で地震モデルなるものを提唱した素晴らしい研究をされている方がおられます。
 今後この分野もノーベル物理学賞の対象になるのではないかと、身近に感じたところです。
 ノーベル賞はいくらいい研究をしても亡くなったら受賞できないんですね。
 それで120歳くらいまで長生きしたらなんか貰えそうなものはないかな、と自分の研究を振り返ってみたんですが、残念ながら見当たりませんでした。

 

 そのようにして真鍋先生の受賞を喜んでいたのですが、冷水を浴びせるような出来事が起こりました。
 今月7日の夜10時過ぎ、関東地方で大きな地震が起こりました。マグニチュードは5.9、震源の深さは75㎞という地震でしたが、それであの状況です。
 幸い亡くなった方はおられなかったようですが、交通はストップし人々の足をはじめ首都圏は大混乱。
 南海トラフの巨大地震と首都直下地震のことが頭から離れない私には、イヤーな、本当にイヤーな地震でした。

 

第五十二段:首都直下地震が近い ~10月7日発生、関東のいやな地震~

図 10月7日の関東の地震。M5.9、震源の深さ75㎞。

(国が想定している首都直下地震のMは7クラス、震源の深さも浅い。)

 

 

 次回から首都直下地震について書いてみたいと思います。
 私たちにも決して無縁でないことをお話したいと思います。

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