第四十三段:災害情報の収集を ~高潮被害には天文潮位と台風最接近のタイミング~
今月(2021年8月)の7日~9日の3連休、台風9号が西日本を襲いました。
8日九州へ上陸、山口県の東部をかすめて広島県に上陸、その後中国地方を斜めに横断して日本海へ抜け温帯低気圧へと変わりました。
山口県への最接近は9日の深夜でした。
私は8日の午後から、「山口県土木防災情報システム」を見始めました。
まずは「台風情報」で台風の進路とおおよその時間を確認、そして先週書いたように「潮位情報」を見ました。
図‐1は8日19時55分時点の「潮位情報」の宇部港における「潮位・気圧」の画面です。
この図の中央のグラフには天文潮位、これまでの潮位の変化(図には「実際の潮位」と書いています)、気圧の変化、併せて高潮警報基準、高潮注意報基準が示してあります。
その下のグラフは潮位偏差と言って、台風による実際の潮位と天文潮位の差が示してあります。
これらの図より以下のことが分かります。
①実際の潮位と天文潮位の差、すなわち潮位偏差はこの時点ではほとんどない。
②別途、台風の進路図から、宇部への最接近は午前2時~3時前後ということを確認して、
この時刻の天文潮位を中央のグラフで見るとほぼ干潮の時間である。
③従って、よほどの低気圧になるか(1hPaで約1㎝上昇)、相当な強風が吹き続けない限り潮位偏差はそう大きくならないので、台風9号程度の気圧と風速では、まず高潮被害が起こることはなさそう。
図‐2は翌9日の午前3時過ぎの同じ画面です。
中央のグラフより満潮時の8日午後9時~9時半ころ潮位は最高に達して、ほぼ高潮注意報基準に達しています。
台風最接近の午前2時~3時ころも中央下のグラフからわかるように潮位偏差はそれほど大きくならず、実際の潮位も干潮と共に低下しています。
今回は幸いなことに高潮による被害は出ませんでしたが、このように台風接近時にこの画面を見ることによって、数時間前から高潮に対する危険性を知ることができます。