第二百四段:地震直前予知への挑戦③

 先週火曜日、「やまぐちGISひろば」主催の「GISフォーラム」が新山口の維新ホールで開催されました。
 その話題提供者の一人に大阪公立大学の吉田大介先生がおられました。

 

 大阪公立大学ということで、「以前大阪市立大学におられた弘原海清先生をご存知ですか」と聞いたところ、なんと「私の恩師です」との答え。
 世の中狭いもんだと改めて思いました。

 

 さて、その弘原海先生の集められた阪神・淡路大震災の前兆現象を、物理的な観点から解明しようとされた先生がおられます。
 以前山口大学におられ、その後大阪大学に移られた池谷元伺(いけやもとじ)先生です。

 

 池谷先生は様々な実験を行い、電磁波が動物の異常行動や電気・電子機器類の異常現象を起こすことを証明されています。
 図はその本の表紙です。

 

第二百四段:地震直前予知への挑戦③

 

 その中でも最も象徴的な実験が500トンプレス機(圧力を加える機械)を用いた花崗岩の破壊実験です。

 

 花崗岩の横にはドジョウやウナギの入った水槽が置かれました。
 荷重が50~60トンくらいからまずドジョウが動くにつれて、ウナギも動き始めます。

 

 300トンで花崗岩は完全に破壊しましたが、その前にウナギははじかれたように動き(電気ショックを受けたように?)のたうち回ったとのことです。
 花崗岩の横にはセンサーが置かれ、花崗岩が完全に破壊される前の小さなクラックが生じたころから電磁波の発生が確認されています。

 

 この実験はじめ、様々な動物実験や電気・電子機器類の実験の様子、その原因が電磁波であること、そしてなぜ地震が起こる前に電磁波が出るのか、その理論的な考察がなされています。
 これを「地震電磁気学」と称されています。

 

 池谷先生も弘原海先生と同様なことをその本の中に書かれています。

 

 

「地震前兆が科学にならないのは、市民の無理解のためではなく、科学者が自らの専門から出ないためではないだろうか。」

 

「伝承される地震の前兆現象は、非科学ではなく未科学。地震は自然現象だから予測はできないという理論があるが、地震はプレート破壊という物理現象だ。ならば科学で予測できる。」

 

「私は、一人でも多く助けるためには、可能性のあるものは何でも使う。」

 

「地震電磁気学は、前兆現象を解明できる。」

 

 

 私は大阪大学の先生の研究室を訪ね、この本に載っている様々な実験装置を見せてもらい、エピソードも聞かせて頂きました。
 残念ながら池谷先生はしばらくして他界されました。

 

 弘原海先生、池谷先生が長生きされていたら、地震の予知に関する研究は大きく進んでいたであろうと思うと、無念でなりません。

 

 


トップへ戻る