第六十六段:トンガ王国の火山大噴火 ~火山噴火の微粒子が冷夏をもたらす~

 今回のトンガ王国の火山の大噴火で気になるもう一つのこと、それは火山の噴火が気温の低下をもたらすのいではないか、と言うことです。

 

 1991年6月、フィリピン・ルソン島の首都マニラの北東約100㎞にあるピナツボ火山が大噴火を起こしました。
 その規模と激しさは20世紀最大級と言われています。
 噴火前に1745mあった標高は、噴火後に1486mになるというすさまじいものでした。

 

 その噴火によって大量の微粒子が成層圏に放出され、硫酸エアロゾル層を形成し、何か月間も残留しました。
 この硫酸エアルゾルは太陽光を吸収する作用を持っていて、そのため地球の気温が約0.5℃下がったといわれています。

 

第六十六段:トンガ王国の火山大噴火 ~火山噴火の微粒子が冷夏をもたらす~

 

 図は北緯30~40度における硫酸エアルゾル濃度と気温偏差(平年の気温との差)を示したものです(図中にはもう一本短い周期で大きく上下している線がありますが、これは無視して下さい)。
 この図からわかるように、ピナツボ火山が噴火した直後から硫酸エアロゾルの濃度が急上昇し、時を同じくして気温が低下しています。
 全地球の平均気温の低下が0.5°Cだったのに対して、ちょうど日本が位置している北緯30~40度では0.6°Cの低下となっています。
 噴火の2年後、日本は冷夏のため米が凶作、大量の米を海外から輸入することになりました。

 

 余談ですが、他国の人たちは自分たちの食べる分を節約して日本に輸出してくれたのに、その米が不味いから食べられないといった不評が日本人から上がりました。
 私はこのニュースを聞いて非常に不愉快になりました。

 

 さて、火山の噴火と凶作、あるいは飢饉という話は日本の火山の噴火でもあります。
 天明3年7月8日(西暦1783年8月5日)に浅間山が大噴火を起こしました。
 このとき発生した火砕流で現在の群馬県吾妻郡嬬恋(つまごい)村鎌原(かんばら)では一村152戸が一瞬のうちに飲み込まれて483名が死亡。
 日本のポンペイとも呼ばれています。
 この年は岩木山も大噴火を起こし、両火山の噴火は、それによる火山灰などの直接的な被害だけでなく、日射量低下による冷害をももたらすこととなり、農作物には壊滅的な被害が生じました。
 このため翌年から深刻な飢饉状態(天明の飢饉)となったのです。

 

 今回のトンガ王国の大噴火によって気温の低下が懸念されます。
 が、その一方で、海底火山だったので、大気中に放出されたエアロゾルの量は海水に吸収され、ピナツボ火山の50分の一という速報もあります。
 いずれにせよ、注意をしておく必要があります。

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