第百八十九段:だいち4号(ALOS-4)打ち上げ成功
6月30日(日)の昼過ぎに予定されていたHⅢロケットの打ち上げは、悪天候のため翌7月1日に延期された。
その7月1日、ドキドキしながら打ち上げの時を待った。
12時過ぎ、白色に輝く炎を噴射しながらHⅢロケット3号機は徐々に宇宙に向かって加速。
やがて雲のかなたに消えて行った。
打ち上げ成功の瞬間だった。(図-1)
昨年3月、HⅢロケット1号機に搭載されていた地球観測衛星「だいち3号」はHⅢロケット1号機と共に爆破され、種子島上空で消えてしまった。
その時の思い出が頭をよぎり、ドキドキしながらHⅢロケット3号機打ち上げの成功を強く祈りながら打ち上げの中継を見ていた。
地球観測衛星「だいち3号」は光学センサーを搭載、空間解像度80㎝という精度で、地球を人間の目で見るのと同じような画像を撮影することができた。
南海トラフ巨大地震による被害の状況を撮影するために、数々の特別な機能を持たせていた、本当に優れた人工衛星だった。
残念ながら昨年消えてしまった。
今回打ち上げの地球観測衛星「だいち4号」(図-2)はマイクロ波センサーを搭載。
昼と夜の12時頃日本の上空を飛行して撮影する。
マイクロ波は波長が長いので、雲も透過する。
したがって、天気が悪くても地上の様子を撮影することができる。
昼でも夜でも、天気が良くても悪くても地上の様子を観測できるので、防災上非常に有効な地球観測衛星である。
現在「だいち2号」が運用中であるが、すでに打ち上げから10年経っている。
設計耐用年数が7年なので、いつ機能停止してもおかしくない状況である。
だからこそ今回の「だいち4号」は絶対に失敗が許されないという厳しい状況の中での打ち上げであった。
「だいち2号」の空間解像度が3m、観測幅が50㎞に対して、「だいち4号」の空間解像度は3mで、観測幅は200㎞と、「だいち2号」の4倍ある。
ということは単純に観測の頻度が4倍になる、ということで、今後の活躍が大いに期待されている。
私も期待している一人である。