第百五十五段:「南海トラフ巨大地震による津波想定④」

 先週は高さ1mの津波が、地震発生後10分以内に到達する地域は、断層の破壊開始場所や、大きく断層がすべる場所が変わってもほとんど変わらない、ということを書きました。 そしてそれらの場所は、東から「静岡県の駿河湾沿岸」、「静岡県の御前崎から和歌山県の日の岬沿岸」、「高知県室戸岬沿岸」、そして「高知県足摺岬沿岸」です。

 

 被害想定では3mの津波の到達時間、5mの津波の到達時間、10mの津波の到達時間も求められています。
 そこで、図に5mの津波の到達時間を示します。

 

第百五十五段:「南海トラフ巨大地震による津波想定④」

 

 左が大きく滑る領域が駿河湾~紀伊半島沖、右が四国沖~九州沖です。
 矢印が10分以内に5mの津波が到達する場所で、大きく滑る領域が駿河湾~紀伊半島沖の場合、東から、①伊豆半島西岸、②静岡市~焼津市、③三重県志摩市周辺、そして④尾鷲~潮岬の4か所です。
 一方、大きく滑る領域が四国沖~九州沖の場合は①の潮岬周辺だけになります。

 

 大きく滑る領域が駿河湾~紀伊半島沖の場合、10分以内の所は述べたように4か所ですが、40分以内ですと、伊豆諸島、そして伊豆半島東岸の伊東市から西の宮崎県にいたる太平洋沿岸ほぼ全域で5mの津波が到達しています。

 

 一方、大きく滑る領域が四国沖~九州沖の場合は、紀伊半島の志摩市以西の太平洋沿岸には、やはり40分以内に5mの津波が到達しています。
 しかしながら伊勢湾より東にはとんど到達していません。
 また、瀬戸内海には5mの津波は到達しないことが分かります。

 

 ちなみに10分以内に10mの津波が到達する場所は、駿河湾~紀伊半島沖で大きな滑りがある場合に、伊豆半島西岸に一部あるだけです。
 しかしながら、遠州灘、紀伊半島にかけては、広い範囲で20~40分で到達するところがあります。
 また、四国沖~九州沖で大きく滑りが生じた場合は、四国沿岸、紀伊半島の広い範囲に20~40分で到達するところがあります。

 

 以上のように津波が高くなるにつれて、断層が大きく滑る場所の影響が到達する場所、時間に大きく出てきます。
 これらのことを考慮に入れて、津波対策を考える必要があるのです

 

 


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