第五段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~津波到達時間の有効活用を~

 さて、先週は南海トラフ巨大地震が起こった時には、まず間違いなく緊急地震速報が出され、緊急地震速報が出されて宇部に強い揺れが来るまでに少なくとも30秒は時間がある、その間に命を守るための行動をとること、すなわち火を使っていたら慌てずに火を消すこと、倒れてくるもの・落ちてくるものなどがない所へ避難することが大切、ということを書きました。

 

 地震による死傷の原因は、大きく分けて3つです。
 一つ目が火災
 二つ目が倒れてくるもの・落ちてくるものの下敷きになる
 そして3つ目が今回のテーマである津波です。

 

 南海トラフの巨大地震が起こると、必ず大きな津波が起こります。
 震源がどこかにもよりますが、四国、紀伊半島、東海地方の太平洋沿岸には地震発生の数分後に高さ10~30mの巨大津波が押し寄せてくることが考えられています。一方、瀬戸内海に面している山口県沿岸には、約1mの高さの津波が数時間後に襲ってくる想定となっています。

 

 図は、山口県の被害想定のシミュレーション結果のうち、宇部港、丸尾港に押し寄せてくる津波が時間とともにどのように変化するか(これを時刻歴と呼びます)を示したものです。
 このようなシミュレーションは最悪の場合を想定して行われます。ここでは満潮時に津波が襲ってくることを前提としています。したがって、いつもこの通りになるわけではありませんが、場合によってはこれに近い津波が押し寄せてくることは在り得る、というように考えましょう。

 

 まず宇部港、ピーク水位は389分(約6時間半)後の約2.8m(天文潮位+津波)となっていますが、ほぼそれと同じくらいの水位である第1波が約3時間半後に襲ってきています。すなわちピーク水位だけに注意してはいけないことが分かります。

 

 次に丸尾港ですが、ピーク水位は約3mでおよそ5時間後の到達となっていますが、やはりその前に約2.6mの第1波が約2時間半後に襲ってきます。しかも同じくらいの水位の波が何度も押し寄せていることが分かります。ですから、気象庁の津波警報が解除されるまで安心してはいけません。

 

 しかしいずれにしても、地震発生後宇部へ津波が到達するのは、場所によって多少違いはありますが、2時間半後以降ですから、慌てずに避難すれば一人も犠牲者を出さずに済みます。

 

第五段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~津波到達時間の有効活用を~

第五段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~津波到達時間の有効活用を~

図 宇部港、丸尾港の津波の時刻歴

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