第百九十四段:首都直下地震⑥東京都の被害想定

 先週、東京都の被害想定で死者が6,148人、これは少なすぎるのではないかということを書きました。
 また、負傷者が9万人以上、避難者が最大約300万人、帰宅困難者も450万人以上。
 エレベータの閉じ込め22,000台以上。また自力脱出困難者が3万人以上。
 これらの人達は無事で済むのでしょうか、ということも書きました。

 

第百九十四段:首都直下地震⑥東京都の被害想定

 

 表はライフラインの被害想定結果です。

 

 %で書いてあるので、分かりにくいのですが、港湾の岸壁被害率が71.2%を除いて、ほかは思ったほど被害率が高くないと思われるかもしれません。
 たとえば道路の被害率(橋脚・橋梁被害率)は9.4%。これくらいだったら迂回すれば何とかなるのではないか。鉄道に至っては1.9%、大したことではないのではないか、とも。
 実はこの数字には大きな落とし穴があるのです。

 

 まず道路の被害想定、これは揺れによる橋梁部分の落橋や亀裂、橋脚部分の亀裂等の被害箇所数だけが考えられていて、道路に隣接する街区での建物の倒壊や延焼火災、土砂崩れによる道路の閉塞、車線の逸脱や衝突等による交通事故等の被災の影響は入っていません。
 300万人に上る避難者、450万人もの帰宅困難者が道路にあふれる、ということも入っていません。
 まず道路は使えない、したがって救急・救命活動はできないと考えた方がいいでしょう。

 

 次に鉄道、道路と同様の高架橋及び橋梁の被害だけが対象となっています。
 沿線の延焼火災に伴う架線の焼失、土砂崩れによる線路の閉塞、走行中の電車の脱線事故等の被災の影響は入っていません。

 

 電力、これは配電設備(変電所で電圧を下げた電気を一般家庭に送るための設備をいい、主に電線のことを指します)の被害であって、発電所、変電所、及び基幹送電網等の被災は入っていません。

 

 通信については、停電による影響、輻輳による不通回線は入っていますが、通信ビルなどの拠点施設や 携帯電話基地局の被災、非常用電源の喪失等の被災は入っていません。

 

 消火活動に不可欠な上水道ですが、比較的太い配水管路は入っていますが、浄水施設、受水槽や配水管路から各家庭に水を引く給水管などの被害は入っていません。

 

 このように、消火活動、救助・救命活動、食料や水の輸送も期待できない中で、負傷者、自力脱出困難者、避難者、帰宅困難者はどうなるのでしょうか。

 

 


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