第百二十二段:トルコの地震①

 先月2月6日、シリアとの国境に近いトルコの東部でマグニチュード(M)7.8の大きな地震がおこり、その9時間後にもM7.5の地震が発生、その後M6程度の余震が続きました。
 ビルが完全にぺっしゃんこになる、いわゆるパンケーキクラッシュした多くのビルの、衝撃的な映像がニュース等で流されました。
 犠牲者は、トルコ、シリアあわせて約52,000人にも上るといわれています。

 

 これから数回、今回のトルコの地震について書きたいと思います。

 

 トルコは日本と同様、複数のプレートが押し合っている地球上の特殊なところに位置していて、地震の非常に多い国です。
 図はトルコとその周辺のプレートを示しています。

 

第百二十二段:トルコの地震①

 

 トルコの国土の大半はアナトリアプレートの上にあります。
 北からはユーラシアプレートが、南からはアフリカプレートが、そして東からはアラビアプレートがアナトリアプレートを押しています。
 そしてその結果、トルコ国内には非常に長くて、活動性の高い(地震の多い)活断層が2本あります。
 その一本はトルコの北部で黒海に沿うように存在する北アナトリア断層、そしてシリアとの国境に沿うように存在する東アナトリア断層です。

 

 実はこれらの断層はあまりにも長く、すべての範囲で一度に地震が起こることはなく、数十~数百kmに分かれて起こります。
 特に北アナトリア断層では、1930年代末から1960年代にかけて一連の地震がこの断層上で起こり、その時地震が起こっていなかったところ、いわゆる空白域で1990年代に起こっています。
 図には数字で年月とMが書いてあります。
 ただトルコ最大の都市、イスタンブールの南側は今も空白域として残っています。

 

 さて、今回の地震は後者の東アナトリア断層で起こりました。
 こちらの断層は、北アナトリア断層ほど近年は地震活動はありませんでしたが、1971年に、そして2020年に起こっています。
 そして今回の地震で、これからもこの断層上で地震が起こる可能性も考えられます。
 今回のM7.8の地震のエネルギーは、わが国で起こった直下地震である熊本地震の約16倍、阪神・淡路大震災の約22倍という非常に大きなエネルギーの地震でした。

 

 次回以降、地震の揺れの特徴、なぜあのような大きな災害になったか、など書いていきたいと思います。

 

 


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