第三十九段:熱海市を襲った土石流 ~イエローゾーン、レッドゾーンと地形・地下水~

 土砂災害には、大別して、土石流、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)、地滑りの3種類があります。
 もちろんこれらは明確に区別されるものではなく、これらの中間的な現象が発生したり、同時に起こることもあります。

 

第三十九段:熱海市を襲った土石流 ~イエローゾーン、レッドゾーンと地形・地下水~

 

 図‐1は土砂災害の起こりやすい地形をまとめたものです(防災科学技術研究所、自然災害情報室、自然災害について学ぼう、15.斜面崩壊・地滑りより引用)。

 

 大雨によって斜面崩壊が発生しやすい所は、地形では斜面の傾斜が急なところ(傾斜角30°以上)、斜面の途中で傾斜が突然急になるところ(傾斜変換点)がある斜面、谷型(凹型)の斜面などがあげられます。

 

 地層の条件からは、地表面の土の層(表土層)の厚いところ、表土層の厚さの変化が大きいところ、透水性が大きく異なる地層が重なっているところ、斜面傾斜の方向へ地層が傾いているところなどが挙げられますが、これらは地表面からは分かりにくいといえます。
 ただ、水が浸透しやすい地層条件であることを示すものに湧水があります。いつも水がしみ出ているところ、とくに雨のときすぐに湧き水の量が増えそれが濁っているところは要注意斜面です。
 なぜなら、雨水の浸透は崩壊を起こす最大の要因だからです。

 

 人為的な条件では、道路建設などにより斜面下部が切り取られているところ、斜面の上方で大規模な地形改変が行なわれたところ(今回の熱海の土石流の原因となった盛土はこれに相当します)、樹木が伐採され長年月そのまま放置されている斜面などです。

 

 崩壊を起こしやすい地質には、深いところまで風化をした花崗岩、すなわち山口県始め中国地方に広く分布している「真砂土」があります。
 また、鹿児島で有名なシラスとも呼ばれる火砕流の堆積層などがあります。

 

第三十九段:熱海市を襲った土石流 ~イエローゾーン、レッドゾーンと地形・地下水~

 

 図‐2は土砂災害のうち、土石流の模式図です。
 土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部(このような地形は大体扇状地になっていて、その扇の要となっている場所)から土地の勾配が2度以上となっている区域は警戒区域(イエローゾーンとも呼ばれています)、その中でも特に危険な区域は特別警戒区域(レッドゾーン)と呼ばれています。

 

 平成30年7月豪雨では、倉敷市真備町の洪水被害が注目を浴びましたが、山口県でもこの豪雨で3人の方が亡くなっています。
 いずれもレッドゾーン、イエローゾーンに住んでおられる高齢の方たちでした。

 

 土石流が起こる前には、上記のように湧き水の量や色に変化が生じたり、石がぶつかるような音がする、雨が降り続いているのに川の水位が下がる、川の水が急に濁ったり、流木が混じったりするといった前兆現象があるようですが、いつもあるとは限りません。
 早め早めの避難が何よりも重要です。

トップへ戻る