第百三段:首都直下地震③
中央防災会議、首都直下地震対策検討ワーキンググループが公表した地震被害想定結果は、先週示したように大変な被害を想定しています。
最も大きい被害が「首都南部直下地震」ですが、その被害想定は建物の全壊戸数約24~61万戸、死者数5,000~23,000人、閉じ込められるなどして救助を要する人54,000~72,000人、さらには帰宅困難者640~800万人、避難者約720万人となっています。
100年前の関東大震災の死者が約10万5千人に比べれば確かに死者は少ないかもしれません。
しかしながら東日本大震災で亡くなった方が約2万2千人。
それに匹敵する人が犠牲になる可能性がある、と言う衝撃的な数字です。
その割にはマスコミはあまり報道しなかったように記憶しています。
多分それは東日本大震災の2年後で、まだまだ東日本大震災のことでマスコミも手いっぱいだったのではないかと想像しています。
表は首都南部直下地震被害想定結果です。
上半分の建物全壊、死者、要救助者、帰宅困難者、避難者は先週も示しましたが、改めてライフラインの被害と共にしまします。
まず要救助者です。
この人たちの多くは家屋の倒壊等で閉じ込められた人達です。
果たして救助に行けるでしょうか?
道路の被害、大規模50か所、中小規模1030か所とあります。
これは首都高速道路の高架橋や河川にかかっている橋などが主な対象で、家が倒れて道路を塞ぐ(実際阪神・淡路大震災で多く見られました)、液状化で道路が通れない、そして600万人を超す帰宅困難者が道路に溢れます。
すぐには救助活動はまず不可能です。
また水道の被害も消火活動を不可能にします。
火災が延焼してきたらどうでしょうか?
残念ながら要救助者の多くの人はすぐには救助されないまま。
電話も通じないので、どこに閉じ込められているかも知らせることができない。
かくして要救助者の多くの人が命を失うことになります。
避難者約720万人。
これだけの人を避難所で収容することはできません。
多くの人が自宅で、あるいは野外で避難生活を送ることになります。
水や食料は、あるいは燃料は運ばれるでしょうか?
極めて悲観的にならざるを得ません。
体調を壊して、あるいは持病を持っている人の病状が悪化して命を失う、いわゆる災害関連死の人が多く出るでしょう。
実際、熊本地震では死者276人中197人が関連死でした。
そして640~800万人の帰宅困難者、食料は、そして何よりもトイレはどうなるのでしょうか?
想像したくなくなります。