第百二段:首都直下地震②

第百二段:首都直下地震②

 

 関東周辺は図-1に示すように、東から太平洋プレートが年間約8~10㎝のスピードで日本海溝、伊豆・小笠原海溝から北米プレート、フィリピン海プレートの下に潜り込んでいます。
 また南からはフィリピン海プレートが年間約4~6㎝のスピードで相模トラフ、南海トラフから北米プレート、ユーラシアプレート(大陸プレート)の下に潜り込んでいます。
 それに対して北米プレート、ユーラシアプレートががっしりと受け止めています。

 

 すなわち、関東地方の地下では、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートの4枚のプレートが押し合いへし合いしているのです。
 いわば4枚のプレートが“おしくらまんじゅう”をしている、世界でも極めて異例な場所なんです。

 

 当然、太平洋プレート、フィリピン海プレートが動きを止めない限り、おしくらまんじゅうによる熱が関東地方の地下に蓄えられ、地震を起こしたり、火山の噴火を起こしたりします。
 首都直下地震や富士山噴火は決して過去の話ではなく、これからも起こって当然の話なのです。
 日本の首都圏はこのような世界でも例をみないほど危険な場所の上にあるのです。
 徳川家康を関東に国替えさせた豊臣秀吉を恨みたくもなります。

 

 さて、中央防災会議、首都直下地震対策検討ワーキンググループはこのような関東地方の活断層やプレート境界で地震の可能性のある震源19か所を対象に地震被害想定を行っています。
 その中で最も被害の大きいものが「首都南部直下地震」(モーメントマグニチュードMw7.3)です。
 その地震による震度分布が図-2です。

 

 ほぼ図の中央に白い棒がありますが、ここが震源の断層に位置です。
 都心部に震度6弱、6強の地域が広がっており、一部に7の地域もあります。
 この地震による被害の一部を表-1にしまします。

 

第百二段:首都直下地震②

 

 被害は地震の起こる季節、時間、また風速によっても異なります。
 従って、想定値には幅があります。
 建物の全壊戸数約24~61万戸、死者数5,000~23,000人、閉じ込められるなどして救助を要する人54,000~72,000人、さらには帰宅困難者640~800万人、避難者約720万人!!!

 

 次回はこれらの数字をもう少し考えてみたいと思います。

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