第十二段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~山口県の想定震度~
数週間、過去の津波にまつわる話を書きましたが、話を南海トラフ巨大地震にもどし、今週は「震度」の話を書きます。
この「震度」という言葉、実は構造物の耐震設計にも全く違う意味で使われます。
従ってそれとの違いをはっきりさせるために、正式には「気象庁震度階」と言いますが、この徒然日記では一般に使われている「震度」を使っています。
さて、図-1は南海トラフ巨大地震が発生したときの山口県の震度分布です(平成26年・山口県地震・津波被害想定より)。
図-1 南海トラフ巨大地震による山口県の震度分布
この図からわかるように、全体的には県の東部で震度が高くなっています。
岩国市の錦川河口地帯、周防大島町の一部、さらに柳井市や上関町の一部で震度6弱となっています。
宇部市の震度分布をみるために、図-1を拡大したものを図-2に示します。
図-2 南海トラフ巨大地震による宇部市の震度分布
宇部市の広い範囲で震度5弱、北部から山陽小野田市との境界周辺で震度4、逆に市の南部の空港周辺から西岐波、東岐波の一部で震度5強となっています。
これら震度の高い所は埋め立て地(空港はそうですね)や、河川沿いの地盤の柔らかい所になります。
厚南平野も地盤が柔らかいので揺れやすいのですが、震源から少し遠いのでこの図では震度5弱となっています。
ただしこの図は250m×250mメッシュの平均値です。地盤の地下の構造、すなわち地層の厚さや種類、硬さや柔らかさ、水平か斜めになっているか、あるいは褶曲しているか、などは少し離れていても随分異なり、そのため少し離れていても揺れ方、すなわち震度は異なります。
ですから厚南平野も場所によっては震度5強の揺れの可能性があると、個人的には考えています。ちなみに、この被害想定を行った時の検討委員会の委員長を私が務めています。
さて、震度5弱、5強はどんな揺れなのか、またどのようなことに気を付けないといけないのか、については次週以降書きたいと思います。