第三十三段:衛星データを防災に活かす ~続JAXAの衛星データを山口県へ~
図は現在のJAXAの国内の事業所・施設です。この図の他に「東京事務所」(お茶の水)、本社・調布航空宇宙センター(調布)があります。
図 JAXAの事業所・施設
図にもありますように、現在は宇部市に「西日本衛星防災利用研究センター」がありますが、以前はありませんでした。
衛星データは今はこの「西日本衛星防災利用研究センター」にもありますが、以前は関東のセンターにしかありませんでした。
「衛星データを西日本に、できれば山口県に」、ということを、まずは当時お付き合いのあったJAXAの方たちから口説き始めました。
分かって頂くのに少し時間がかかりましたが、ごくごく簡単にダイジェスト版で紹介しますと、JAXAの方たちは、「衛星データはバックアップが取ってるから大丈夫ですよ。建物も耐震設計をしてますから」、と言った様子。
「いやいや、建物が大丈夫で、データが無事でも、首都直下地震や、利根川の大氾濫などが起こって交通や都市機能が麻痺したら、皆さんがJAXAに行けないでしょ。そうするとデータの解析ができず、まさにそんなときに威力を発揮する貴重な宝が活かせないことになりますね。」
そのころは「はやぶさ」フィーバーでJAXAの人気は絶好調。
「はやぶさで子供たちをはじめ日本国民に夢と感動を与えたJAXAは、宇宙へのロマンだけでなく、大災害の時のこともきちんと考えていて、たとえ関東圏が被災してもバックアップ機能を西日本にちゃんと準備されていたんですね、さすがJAXAですね、と言われますよね。」
などなど、思いつくいろいろなことをお話して、理解して頂きました。
次はJAXAを所管している文部科学省です。
ここを口説き落さないと予算が付きません。
文部科学省には、アドミッション・センター設立のときや工学部長としていろいろな事業の説明に何度も通っていますが、今回は大分様子が違います。
そこで学長の岡正朗先生に相談して、地元出身で文部科学大臣を務められた河村建夫先生に連絡して頂き、河村先生の事務所を訪ねました。
すると河村先生は「おー、三浦先生はそんなことを考えておられたんですか。」と言いながら文部科学省のしかるべき方へ電話をし、「山口大学の三浦先生の話を聞いてほしい」と言って下さいました。
時をほぼ同じくして、山口県は知事が村岡正嗣さんに代わり、当時山口県防災会議専門部会長の私が村岡新知事に山口県の防災に関する概況を説明する機会がありました。
そこで、その説明の最後に使った図が先週の図です。
そしてお願いしました。
「機会があったら是非山口県にJAXAの衛星データを誘致して欲しい」。
「山口県にJAXAの衛星データを・・・」と、言い続けていたら、神風が吹いたのです。