第百八十一段:山口県地震・津波防災対策検討委員会③

 大胆な仮定のもとに震源となる断層を決めます、先週このことを書きました。
 次は断層が破壊する(ずれる)ことによって地震波が発生しますが、これも大胆な仮定のもとに計算します。

 

第百八十一段:山口県地震・津波防災対策検討委員会③

 

 図-1は簡単にその方法を説明したものです。まず大きな断層を小さなメッシュに分割します(図-1の右)。そしてある小さなメッシュから破壊が始まったとして(震源を仮定して)、その地震波を決めます。
 この地震波の決め方は、理論的に決めることもありますが(グリーン関数と言います)、過去近くで地震が起こってその地震記録があればその記録(経験的グリーン関数と言います)を用いることもあります。
 図-1の地震波①です。

 

 震源の隣のメッシュから発生する地震波②は①と同じ波形を用いますが(これも大胆な仮定)、少し時間をずらして①と重ねます。
 そのずらす時間は破壊の伝わる速度を考えて決めます。

 

 たとえばメッシュの大きさが1.5㎞であれば破壊の伝わる速度は約3㎞/秒と仮定して、1.5÷3=0.5秒、もしメッシュの大きさが3㎞であれば、3÷3=1秒の時間差をもたせます。
 このようにして、すべてのメッシュから発生した地震波を時間差を考慮に入れて重ねて一つの大きな地震波を作成します。
 それが地震波③です。

 

 この地震波③は地下の岩盤での地震波です。
 実際は岩盤の上に地盤が堆積していて、この地盤によって地震波③は大きくなります。

 

 そこで次の大胆な仮定を用います。
 地盤の固さ、柔らかさはボーリング調査の結果を用いて決めますが、ボーリングデータの数は限られていて、山口県全域くまなく密にあるわけではありません。
 そこで山口県を例えば250mメッシュに区切ってその中にあるボーリングデータを代表させて、地盤の構造と硬さ、すなわち地盤モデルを決め、地震波③がこの地盤モデルの下に入ると地表面がどのように揺れるかを計算します。
 その結果から地表面の震度を計算します。

 

第百八十一段:山口県地震・津波防災対策検討委員会③

 

 図-2はこのようにして求まった山口県の震度分布です。
 この図の作成には以上述べたような大胆な仮定がいくつもあるのです。
 このような仕事をしているとゴルフも大胆になります。
 私のゴルフが大胆で、大叩きをしてつらい思いをするのは職業病なのかもしれません。

 

 


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