第七十九段:地震活動の長期評価 ~安芸灘-伊予灘でM7クラスの地震発生は近い~
前回、山口県にとって、「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震と、「南海トラフ」のM8クラスの地震はいつ起こってもおかしくないので備えておく必要がある、と書きました。
今回は「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震についてもう少し詳しく説明します。
図-1はこの「防災徒然日記」第六段の図-2でも紹介した図ですが、この海域で記録が残っている最も古い地震は1649年、現在の伊予市と大洲市の沖合で起こったM7の地震です。
その後、M6以上の地震が、2014年3月のM6.2の地震まで10回あります。
図はこれら10回の地震でどれくらいのエネルギーが放出されたか(専門的には解放と言います)、その解放エネルギーを縦軸に、地震の発生年を横軸にとって描いたものです。
この図からわかるように、両者の関係は階段状になっており、その階段の先端はほぼ一直線になります(図中の斜めの破線)。
この海底下ではフィリピン海プレートが大陸プレートの下にもぐり込んでおり、その境界でこのように繰り返し地震が起こっています。
そして、図中の斜めの破線の傾きはこの海底下でフィリピン海プレートの動きによって蓄積される地震エネルギーの割合と考えられます。
地震がしばらくないとエネルギーが蓄積され、限界に達すると地震が起こり、蓄積されたエネルギーが解放される、それを繰り返していることが分かります。
そのような目で図-1を見ると、1905年の明治の芸予地震(M7クラス、⑥番目)以来M7クラスの地震は起こっていません。
明治の芸予地震以後、地震が4回(⑦~⑩番目)起こっていますが、これらはいずれもM6クラスで、地震エネルギーは十分解放されておらず、相当たまったままになっていることが分かります。
その量はM7クラスです。
しかもこの図から見て、いつ起こってもおかしくない状況であるといえます。
図-2は県の地震被害想定によるM7クラスの地震が安芸灘・伊予灘で起こった時の宇部市内の震度分布です。
市の大半が震度4、沿岸部の一部で震度5弱が想定され、強い揺れに襲われ、5弱の地域では備えなければ被害が出ることが予想されます。