第九十三段:札幌でのひと夏①

 「線状降水帯」が次々に現れて東北、北海道地方に大雨を降らしています。
 各地で大きな被害が出ています。
 今は前線が南下し、ここ宇部も昨日から時々大粒の雨が降っています。

 

 かつては、北海道にはこのようなひどい雨は降っていなかったのではないかと思います。
 ふと、ちょうど50年前の夏休みを思い出しました。

 

 当時大学3年生だった私は、今でいえばインターンシップ、当時の言葉では学外実習で、北海道でひと夏を過ごしました。
 北海道開発局の河川研究室で1か月半実習。
 毎日毎日、石狩川の模型で洪水をおこし、堤防を守るのにどのようなコンクリートブロックが有効か、という実験の手伝いをしていました。

 

 今と違って当時は7月10日過ぎから夏休み。
 20日前後に仲間と一緒に岡山まで山陽本線の特急で、岡山から東京まで新幹線で、東京からは東北本線の特急に乗り換え、青森からは青函連絡船。
 函館から札幌までまた特急で、それはそれは長い長い旅でした。

 

 宇部を発つ直前まで、その年の7月、北海道をのぞいて日本各地は大変な豪雨に見舞われました。
 「昭和47年7月豪雨」と言われています。
 気象庁が命名した期間である7月3日から7月13日までの主な災害は以下のとおりです。

 

 5日:高知で土砂崩れ、6日:熊本で山津波(いわゆる天草大水害)、7日:静岡で土砂崩れ、8日:秋田で洪水、9日:青森・山形で洪水、10日:福岡・佐賀・広島で山崩れ、長野で洪水、11日:島根で洪水、広島・岡山で山崩れ、12日:山口で洪水およびがけ崩れ、東京で洪水、神奈川で山崩れ、13日:愛知・岐阜で洪水および山崩れ。
 日本中もう無茶苦茶です。

 

第九十三段:札幌でのひと夏①

 

 図は西日本を中心に雨が降った7月10日から13日の雨量を示したもので、大きな〇が300㎜以上、次の大きさの〇が200㎜以上、次が100㎜以上、一番小さな〇が100㎜以下です。
 この図より島根県と対馬で300㎜以上、山口県のこの近くでも200㎜以上の雨が降っています。
 確かに日本全体が水没するのではないかと不安になるくらいの長雨とそれによる災害でした。
 この豪雨で、全国で421人が死亡、26人が行方不明、山口県でも死者16名、行方不明1名と、多くの犠牲者が出ています。

 

 札幌の夏はと言うと、それまでの本州での豪雨災害が嘘のような、たまに30度を超す日はあったものの、さわやかな日々。
 最近の北海道の気候は随分変わってきた気がします。
 緯度が南下(気温や雨の降り方が北上)していることは確かなようです。

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