第七十八段:地震活動の長期評価 ~安芸灘-伊予灘-豊後水道が危ない~

 今回も前回に引き続いて、政府・地震研究推進本部:日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動長期評価(第二版)のうち、図の「安芸灘~伊予灘~豊後水道」、「九州中央部」、「南西諸島北西沖」の評価結果を紹介します。

 

第七十八段:地震活動の長期評価 ~安芸灘-伊予灘-豊後水道が危ない~

 

 まず山口県に最も影響のある「安芸灘~伊予灘~豊後水道」から。
 この海域では1600年以降の422年間にM6.7以上の被害地震が7回発生しています。
 422÷7=60.3ということから、発生頻度を60.3年に1回として、ばらつきを考慮に入れてM6.7~M7.4程度の地震の発生確率が算出されています。
 その結果は今後10年以内の発生確率は20%程度、20年以内の発生確率は30%程度、50年以内の発生確率は60%程度とされています。

 

 次に「九州中央部」。
 ここは地震のよく起こる熊本周辺と日向灘に挟まれた地域です。
 1600年以降の422年間にM7.6の地震が1回発生していますが、回数が少ないために発生頻度を推定できず、M7.0~7.5程度発生確率は不明とされています。
 なお、図にはそのことは掲載していません。

 

 最後に奄美、沖縄列島の北側に位置する「南西諸島北西沖」ですが、この海域では比較的地震が発生していて、1919年以降の103年間にM7.0以上の地震が3回発生しています。
 発生頻度を103÷3=34.3年に1回とし、M7.0~7.5程度の地震の発生確率が算出されています。
 その結果、今後10年以内の発生確率は30%程度、20年以内の発生確率は40%程度、50年以内の発生確率は80%程度と評価されています。

 

 さて、最初に戻って山口県に最も影響の大きい「安芸灘~伊予灘~豊後水道」ですが、そのうちさらに「安芸灘~伊予灘」に海域を限って過去の地震に着目しますと、過去何度もM7クラスの地震が発生しています。
 しかしながら1905年の明治の芸予地震(M7.0 から7.5の間と考えられています)以降117年経っていますが、M6クラスの地震しか起こっておらず、この海域にはM7クラスの地震がいつ起こってもおかしくないくらいのエネルギーがたまっていると私は考えています。
 すなわち国の評価よりも発生確率は高いと思っています。
 山口県にとって、この「安芸灘~伊予灘」のM7クラスの地震と「南海トラフ」のM8クラスの地震はいつ起こってもおかしくないと考えて備えておく必要があると考えています。

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