第七十七段:地震活動の長期評価 ~日向灘で再度地震が起こる高い確率~

 第七十五段の最初に少し触れましたが、この3月25日、政府・地震研究推進本部から「日向灘及び南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価」(第二版)が公表されました。
 今週と来週はその内容について紹介したいと思います。

 

 この調査評価は、日本及びその周辺の海域をいくつかのブロックに分けて、そのブロックごとにそこで起こった過去の地震を調査し、今後どの程度の大きさ(マグニチュードM)の地震がどれくらいの確率で起こるかを計算したものです。
 相手が自然ですから当然ばらつきはあり、評価の結果が“確率”ですので、“確実”なことは言えませんが、今後の備え、心構えをするには大いに参考になると思います。

 

第七十七段:地震活動の長期評価 ~日向灘で再度地震が起こる高い確率~

 

 今回は、図の「日向灘」、「南西諸島周辺(奄美大島や沖縄列島の南側)」、「与那国島周辺(台湾のすぐ近くまで)」の評価結果を紹介します。
 まず、南海トラフ巨大地震との関係がいろいろといわれた去る1月22日の深夜に地震が起こった「日向灘」から。
 1600年以降、この日向灘を震源域とするM8クラスの巨大地震が発生したことは知られていません。
 ただ、この領域内で発生した1662年の地震(M7.6)は巨大地震であった可能性もあるようです。
 一方、M7クラス(M7.0~7.5)の地震は1919年以降の103年間に5回発生しているため、発生頻度を20.6年に1回として確率的に計算をし、図のように発生確率を求めたそうです。

 

 次に「南西諸島周辺」。
 前回、前々回紹介した八重山地震はここで起こっています。
 与那国島周辺も含めてこの海域では1600年以降M8クラスの地震が1回発生しています。
 ただし非常に広い海域であることと回数が少ないことから発生確率は不明ということになっています。
 一方、M7クラス(M7.0~7.5)の地震は1919年以降の103年間に4回発生していますが、いくつかの理由でやはり発生確率は不明としています。

 

 最後に「与那国島周辺」。ここでは1919年以降の103年間にM7.0以上の地震が12回発生しているため、発生頻度を8.6年に1回とし、確率的に計算をして、図のように発生確率を算出しています。
 これを見ると、10年以内にM7.0~7.5の地震が起こる確率は70%以上、20年以内では90%程度となっており、非常に確率が高くなっています。
 報告書には、地震発生確率が高めに見積もられている可能性もある、との注意書きもありますが、十分注意が必要であることは間違いありません。

トップへ戻る