第百九十七段:南海トラフ地震臨時情報③
今回の「南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』」情報とともに、「M7クラスの地震が発生した後1週間はM8クラス以上の大規模地震が発生する可能性が“相対的に高い”ので注意して下さい」という呼びかけがありました。
この“相対的に高い”ということ、まずお分かりにならないと思います。
具体的にはこういうことです。
1904年~2014年の111年間に世界で起こった地震のうち、M7以上の地震が発生してから7日以内にその震源から50㎞以内発生したM8クラスの地震の数は、111年を平均した1週間に起こる数よりも多くなっています。
そこで今回M7の地震が起こったので、過去の例から言って、M7の地震が起こっていない場合よりもM8の地震の起こる可能性が高くなっています、ということなのです。
だからと言って、M8クラスの地震の起こる可能性が低くなっているわけではありません。
南海トラフでは毎年フィリピン海プレートが4~6㎝の割合で西日本の地下に潜り込んで地震エネルギーをずっと蓄え続けています。
したがって、時間が経てばたつほど地震の発生確率は高くなります。
ということは、「南海トラフ地震臨時情報」発表後一週間たっても安心してもいいということにはなりません。
少し時間ができたと思って、備えを着実に進めることが非常に重要です。
参考までに、地震が起こってすぐに高い津波が襲って来る高知県の「南海トラフ地震臨時情報」が出された後の対応を紹介します。
同県は図に示すように「事前避難対象地域」を設定しています。
まず「浸水想定区域」、これはハザードマップ等で既に公表。
その中に「高齢者等事前避難対象地域」を設定し、さらにその中に「住民事前避難対象地域」を設定しています。
これらの地域の人はどうするのかを表にまとめて示します。
これは南海トラフの東側でM=8クラスの地震(半割れ)が起こった場合を想定したものです。
「巨大地震警戒」が出されますと、「住民事前避難対象地域」、「高齢者等事前避難対象地域」の全住民は1週間をめどに安全なところに避難します。
「より内陸の地域」の住民は“地震への備えを再確認して、いつ地震が起こって大丈夫なように情報の入手も含めて警戒のレベルを上げて生活”をします。
「巨大地震注意」が出されたときには、1~2週間をめどに、全ての住民は“地震への備えを再確認して、いつ地震が起こって大丈夫なように、警戒のレベルを上げて生活”することになります。
2週間以降は通常の生活に戻りますが、“大規模地震発生の可能性がなくなったわけではないことに留意しつつ、地震の発生に注意しながら通常の生活を行う”ことになります。
ここで重要なのは、地震発生の可能性は依然高い、ということです。
十分な備えと注意をしながら生活することが必要になります。