第百四十段:「線状降水帯」について
6月下旬から7月上旬にかけては九州・山口で、7月上旬からは秋田県を中心に東北地方で線線状降水帯が次々に現れ、大きな災害が生じています(図)。
先日の報道では、今年になってすでに45回も線状降水帯が発生したとのことです。
今日(19日)鵜の島小学校で、4、5、6年生の児童約70人に対して防災授業を防災ネットワークうべが行ったのですが、そのとき「線状降水帯」を知っているかとの問に、ほとんどの児童が「はい」の手を上げました。
このように今や「線状降水帯」は子供にもよく知られた存在となりました。
『豪雨災害』=『線状降水帯』のようなイメージが作られつつあります。
言い換えれば、“豪雨災害は線状降水帯によって引き起こされる”、といったイメージです。
それは確かにそうですが、逆に言えば、“線状降水帯が現れなければ豪雨災害は起こらない”といった間違ったイメージもできつつあるのではないかと心配しています。
線状降水帯が現れなくても大きな災害はたくさん起こっています。
先週書きましたが、もう一度線状降水帯の定義を書きます。
条件は4つありますが、ややこしいので4つ目は省きます。
条件① 5kmメッシュごとに雨量計やレーダーを使って降水量が求められ、その時刻の前36時間の積算降水量が100mm以上となる領域面積が500km2以上。
条件② ①の領域の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上の楕円形)である。
条件③ ①の領域内の前3時間の積算降水量の最大値が150mm以上。
条件①からは、直前3時間の積算降水量が100mm以上となる領域面積が500km2以上ないと、たとえ499 km2であってもこの条件はクリアーできません。
条件②からは、その形状が楕円形に近くないと、円形やいびつな形、あるいは点々ではやはりこの条件はクリアーできません。
さらに、条件③からは、たとえ広い範囲で149㎜の雨が降っていても、最大値が150㎜を超えていなければ、この条件はクリアーできません。
このように見ていくと、『線状降水帯』が出現しなくても極めて危険な状態があり得ることがお分かりいただけると思います。
気象庁から「大雨警報」や「大雨特別警報」などが出され、市から「避難指示」が出されたら、危険なところに住んでいる人はすぐに避難して安全を確保しましょう。