第五十五段:首都直下地震が近い ~経済的に日本沈没の恐れ?~

 日曜日の夜、「日本沈没」というドラマをやっていて、ぶちぶち言いながら見ています。
 地球物理学的にも、現在の地球観測システムとその運用に関しても、あまりにもあり得ないことがベースになっているからです。
 SF(Science Fiction)ではなく、人間の確執ドラマですね。
 それにしても各省庁の代表者が非常に頼りなく描かれています。
 私の知っている限り、各省庁の代表ともなろう人たちは非常にしっかりしています。

 

 私が確か大学3年生の時、小松左京氏が「日本沈没」を発表しました。
 小説も読み、映画も見ました。
 1960年代は地球観測の技術が著しく発展し、それまで忘れられていた「大陸移動説」が、プレートテクトニクスという新しい理論の基に再び脚光を浴びました。

 

 「太平洋プレートが東から押し寄せてきて、フィリピン海プレートが南から押し寄せてきて、それらをユーラシア(大陸)プレートががっしりと受け止めている、それら押し合っている3つのプレートの境界上に形成されているのが日本列島」、これがプレートテクトニクスによる日本列島の説明になります。
 ちなみに、現在は北米プレートも加えて4枚のプレートの上に日本列島は形成されている、と言うのが定説になっていますが、当初は北米プレートの存在は明らかではありませんでした。

 

 小松左京氏のオリジナルは、確か太平洋プレートとフィリピン海プレートの動きが止まり、それまで頑張っていたユーラシアプレートは押してくるものが無くなって、前方、すなわち太平洋につんのめってしまう、それでその上に乗っている日本列島が太平洋に沈んでしまう、と言うストーリーだったと記憶しています。
 小松左京氏自身、最新の地球物理学をしっかり勉強されており、「日本列島を沈めるのがこんなに難しいとは思わなかった」と述懐されています。

 

 話は最近のテレビドラマの「日本沈没」に戻りますが、一応原作は小松左京氏の「日本沈没」になっていますが、なぜ日本列島が沈むのか、それもなぜ関東地方だけなのか、その理由が分かりません。
 分からないことだらけのドラマ「日本沈没」ですが、物理的な「日本沈没」は無くても「経済的な「日本沈没」は大いにあり得ると思っています。
 その引き金が首都直下地震です。
 付表はこれまで説明してきた首都直下地震の被害想定結果をまとめたものですが、多くの人命が失われるだけでなく、この地震による直接被害額が約100兆円と想定されています。

 

第五十五段:首都直下地震が近い ~経済的に日本沈没の恐れ?~

 

 それによる間接被害はその数倍にも及ぶでしょう。国内だけでなく世界中に大きな影響を及ぼすことも明らかです。
 コロナ禍が一段落したら早急に首都直下地震の対策に国、首都圏の自治体はもちろん、日本全体で取り組まなければならないと思っています。

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