第十三段:南海トラフ巨大地震が迫っている ~震度4~5強の揺れとは~
前回、山口県が行った地震被害想定のうち、南海トラフの巨大地震が起こった時の山口県の震度分布、宇部市の震度分布について書きました。
宇部市の広い範囲で震度5弱、北部から西部の山陽小野田市との市の境界周辺で震度4、逆に市の南部の空港周辺から西岐波、東岐波の海岸沿いの一部で震度5強となっています。
では、震度4、5弱、5強とはどのような揺れ方なのでしょうか?
気象庁が平成21年3月31日に改訂した「気象庁震度階級関連解説表」に分かりやすく説明してあります。
表‐1 気象庁震度階震度4~5強の揺れ
表はその中から、震度4~5強を抜粋したものです。これからわかるように、震度4ではびっくりはしますが、被害はほとんどありません。まず怪我をすることもありません。
震度5弱くらいから物が落ちたり壊れたり、その近くにいるとけがをすることがあります。座りの悪い家具そのものが倒れることもあります。
震度5強になるとさらに揺れが強くなり、被害も大きくなります。
ただ、ここに書いてあることは標準的なことですので、いつもこのようになるとは限りません。
震度5強であっても、家具をきちんと固定していれば、また棚からものの落下を防ぐような工夫をしていればほとんどの被害は防ぐことができます。
逆に震度4でも物が落ちたり、運が悪いとその落ちてきたものに当たってけがをすることもあります。
家そのものの被害状況についても「気象庁震度階級関連解説表」に説明があります。
それによると、木造家屋でも耐震性の高い家は震度5強でも「無被害」、耐震性の低い家は震度5弱で、壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられ、5強で軽微ではないひび割れ・亀裂がみられることがある、ということです。
では耐震性が高い家と低い家の違いは、と言うと、阪神・路大震災の時には明らかに、昭和56年(1981年)以前に建てられた家屋と昭和57年以降に建てられた家屋とでは被害に大きな差がありました。
その理由は、昭和56年に建築基準法の耐震設計基準が変わって、より強い地震動に対して家屋が耐えるように設計することが求められるようになったからです。
しかしながら昭和56年(1981年)からもう40年経っています。事はそう簡単ではありません。
このあたりのことは次回に。